2016 Fiscal Year Research-status Report
教育資源の活用を志向した女性教員の就業継続とキャリア形成の支援方策に関する研究
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15K00718
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 裕紀子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00272740)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性教員 / キャリア形成 / 学校管理職 / 出産・子育て経験 / 力量形成機会 / 子育て期間 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に実施した「女性教員の就業継続とキャリア形成に関する調査」の結果をまとめ、調査協力者に結果報告書を配布するとともに、2016年生活経営学部会夏期セミナーにおいて報告した。また、セミナー報告時の質疑等をふまえてさらに分析をすすめ、学会誌に論文を発表した。 論文では、まず、子育て期を含む各教員ステージにおける校種間異動の態様について確認した。次に、出産・子育て経験によるキャリアへの影響について因子分析を行い、下位尺度得点の平均値から「出産・子育て影響得点」を算出した。そして、「出産・子育て影響得点」及び「職階上のキャリア」、「力量形成機会」について、「子育て期間」、「子育て期の親との同居」、「子育て期の所属」との相関分析を行った。 分析の結果から、女性教員のキャリア形成における出産・子育ての影響として、①学校教育現場における教員構成のアンバランスに及ぼす影響、②教員の「力量形成機会」に及ぼす影響、③子育て期間が力量形成機会の阻害感に及ぼす影響、の3点を指摘した。①については、出産・子育て期に小学校に異動する教員が多いことが示され、こうした異動パターンが中学校を小学校より上位におく階層構造のもとで、女性のキャリア形成に遅れを生じさせていることが示唆された。②については、出産・子育て経験を教員としての力量形成に役立つと認識する教員割合が多いことが定量的に確認された。この点については今回の調査対象者が学校管理職教員であることが影響していると考えられるため、今後、対象者を精査することにより再検証する必要がある。③については、子育て期間と力量形成機会阻害感との関連が示されたが、力量形成機会の阻害感と実際の研修機会との間の相関は認められなかった。今後、子育て期間の長期化による力量形成機会への阻害感には具体的に何が関係しているのか、検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に質問紙調査票の回収が遅れ、その年に実施予定であった論文の作成と学会誌への投稿、結果報告書の作成と送付が平成28年度にずれこんだためである。平成28年度のはじめに修正された研究計画は達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、8月に開催されるアジア国際学会において、論文では発表することができなかった質問紙調査の結果について報告する。また、面接調査を実施し、その結果と質問紙調査の結果を併せて検討し、女性教員の就業継続とキャリア形成のための方策を提示する。
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