2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the household money management method
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15K00719
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家計管理 / 家計簿 / 食料費 / 生協 / 家計管理能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究の成果発表、とりまとめとともに、高齢期の家計管理の実態について検討した。地域生協による家計管理活動について、組合員の問題意識に端を発する全国規模の生計費調査は消費者運動であるとともに、参加組合員の家計管理スキルを高める活動として機能していた。家計に関する組合員活動の最盛期は1990年頃までが約半数を占め、活動の中心であった有配偶女性が就業化する中で、生計費調査、組合員活動を行いにくくなっていた。生活の保障への関心が高まりから1980年代半ばに共済を扱うようになり、生活設計に重心をおいて、また組合員自身が主体的に活動に関わるしくみをつくり、家計管理の啓発活動が行われている。自由記述から、組合員の生活実態に鑑み家計に関する活動の必要性が認識されており、対象を明確にした学習会や広報方法の工夫など参加促進へ向けた取り組みが行われている。家計に関する活動は、活動の形を変え、組合員にとって家計管理能力を高める活動として継承されている。研究結果について報告書を作成し、調査に協力頂いた生協に送付した。 また、生鮮食料品消費の格差について、引き続き検討を行った。物価変動が所得階級別の消費に与える影響を捉えるため、1985年から2017年の家計調査を用い、所得階級別消費の変動と年別消費の変動消費者物価の変動との関係を分析した。低所得の方が価格変化の影響を受けやすいと考えていたが、所得階級による明確な相違はみられなかった。昨年度の分析と合わせ、国際会議にて口頭発表を行った。 職業から引退後の経済生活に対する不安が大きい。参加の機会を得た高齢者対象調査の分析の結果、相当の貯蓄を保有しつつも、日常の生活では引き出すことがない者が少なくないことが示された。備えるだけでなく、各自の暮らしにあわせた必要額の設定を考え活用することができるようリテラシーを高める必要性が示唆された。
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