2017 Fiscal Year Research-status Report
同僚および自己との対話による研修プログラム開発とその効果の検討
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15K00731
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
中島 美那子 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (60571289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 文紀 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (00438607) [Withdrawn]
神永 直美 茨城大学, 教育学部, 教授 (20435225)
木村 由希 常磐短期大学, 幼児教育保育学科, 准教授 (90446146)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 対等な対話の場 / 園内研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、研究代表者所属校の倫理審査委員会の助言(園内研修を実施する前段階として、公募による参加者に対して研修を試行し、その研修が安全であるか検証すること)に従い、公募による参加者に対する研修を実施した。その結果として、本研究にて開発中の研修プログラムの安全性が認められた。 そこで今年度は、さらに公募による参加者に対する研修を実施し、その安全性および効果を検証したのち、本研究の主目的である実際の保育・教育施設での園内研修試行を行なった。あわせて、自治体が主催する若手保育者の研修会でも開発プログラムを試行する機会があり、調査を進めることができた。 これらプログラム試行の結果として、8割以上の研究対象者がプログラム参加前より参加後のほうが、自分と他の参加者との距離感が縮まったと感じたと答えた。また参加後の感想から、自分を変えたい(保育の質を向上させたい)という気持ちが強くなった、同僚の保育観や考え方をもっと受け止めていこうと思った等の発言が多くみられた。これらのことから、本研究にて開発中のプログラムの実施によって、同僚性を高め、自己省察を促進することが示唆された。 同僚性や自己省察の促進等の要因として、本研究の基盤となっているノーバディーズ・パーフェクト・プログラムが持つ構造の影響は大きい。ファシリテーターが「多様な価値観」を会全体で重視することを最初に伝えること、第1回目に参加者全員で「会のルール」を決定すること、毎回短時間のアクティビティを行なうことなどが基本構造となっており、これらが安心・安全な場を形成し、回を重ねるごとに強化していくと思われる。 しかし、これらがどのように同僚性や自己省察の促進へ作用しているのかのさらなる分析は今後の課題となった。 また今年度は、園内研修の試行とともに国内の保育・教育施設での園内研修実践や保育者の育成等に対する調査もあわせて進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年目となる今年度は、数か所の園の園内研修にて本プログラムを実施し、あわせて自治体の若手研修会のなかでも本プログラムを試行することができた。そのため、本年度だけを見れば、予定通りに進捗したともいえるが、もとより採択の時期が年度の後半であったため、初年度の時点での遅れによる影響がやや残り、十分な分析および成果発表までには至らなかった。 また今年度は、園内研修の試行の他にも国内の様々な園を訪れ、実際の研修実践や保育者の育成の仕方についての調査も十分に行なったため、当初の計画よりもやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はおもに分析および成果の発表を中心に展開する予定である。「研究実績の概要」にも記したが、研修試行によって本研究での開発プログラムが、同僚性や自己省察の促進へ作用することが示唆された。しかしその効果についての詳細な分析に関しては、まだ十分に行なったとは言えないため、その点について探究することを予定している。 さらには、今年度までに調査した国内15園の園内研修実践等の分析もさらに進め、成果の報告を行なう。
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Causes of Carryover |
(理由) 複数園での研修の試行、国内の保育所、幼稚園、こども園による園内研修実践の調査を進めるなかで、その記録の分析を十分に進めることができなかった。分析には音声データの逐語録が必要であり、今年度は当初計画よりもその支出が少なかった。 (使用計画) 次年度はすべての音声データを逐語録にして分析を進めるため、その部分への助成金の使用がある。また、さらなる園への訪問も予定していることから、謝金、旅費での使用も見込んでいる。
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