2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00734
|
Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
関根 理恵 江戸川大学, 社会学部, 講師 (90709304)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 繊維 / 洗浄 / 文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、先行研究の分析、資料および情報収集、資料収集、試料作製、表面形状の観察、汚損物質の観察、伝統的洗浄、引きはがし等による除去を行った。 先行研究の分析、資料および情報収集では、国内外の知見を得た。試料作製では、試料ごとに異なる劣化および汚損の状況のサンプル作成を行った。表面形状の観察、汚損物質の観察では、光学顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いた。実験では、昨年に引き続き、繊維素材別の比較実験を行った。エネルギー分散型X線分光器では、汚損物質ごとの表面の状態を把握することができた。特に、コプト織物に付着した汚損物質の観察では、多用な汚損の状況を観察することができた。その他、木綿に付着した血液などの汚損状況も観察することができた。汚損の状態は、それぞれの物質によっても表面の状態が異なっており、この状態を視覚的に捉えられた。実験では、文化財に用いられる素材は多用であり、実験に用いる試料数が多いため2016年度内に実験が完了することはできなかった。そのため、継続して次年度も引き続いて実験を行なう予定である。研究実施計画では、海外での情報収集についても予定していたが、日程調整の結果、次年度以降に実施することとなった。次年度は、3か年計画の最終年度となることから、実験および海外での取材調査や情報収集とともに、実験データの分析、報告書の作成および成果の公開を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、先行研究の分析、資料収集、実験計画、資料作製および実験をおこなった。また、文化財修復における洗浄に関する手法についての情報収集とその分析を行った。先行研究など関連分野の文献収集および分析においては、欧州(フランスおよびベルギー)における洗浄手法および専門機器に関する調査を実施する予定があり、調査地との日程を調整し、2017年に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方針としては、引き続き、文化財の汚損状況、汚損原因の把握、分類などを行うとともに、文化財の洗浄方法および洗浄に効果的な洗剤について素材別にさらに考察する。
|
Causes of Carryover |
海外調査を予定していたが、日程調整の結果、2017年4月以降に実施することとなったため、次年度使用額が生じた。また、物性試験のための実験資材の購入を検討していたが、業者より納品に時間がかかるとの連絡があり、2017年度に購入することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外調査の実施および、物性試験用の実験資材の購入
|