2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K00734
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
関根 理恵 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (90709304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化財 / 洗浄 / 保存修復 / 染織 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、先行研究の分析、資料および情報種々、試料作製、表面形状の観察、汚損物質の観察、引きはがし等による除去に関する研究を行った。 先行研究の分析、資料および情報収集では、ベルギーおよびイギリス、アイルランド、フランスにおいて調査を実施した。ベルギーでは、王立De-Witte染織研究所、王立修復研究所、イギリスでは、ハンプトンコートパレス王立修復部染織修復研究室、アイルランドでは、グラスゴー大学付属国立染織保存修復研究所、フランスでは、国立博物館公文書館にて調査を実施するとともに、専門家と専門的討議を行った。 上記の専門的討議に基づき、洗浄に用いる機材や、方法、洗浄中に起こりうる織物組織の変化、汚損物質の変化、変色について考察を重ねた。 昨年度に引き続き、汚損状態の研究および洗浄実験を実施した。表面形状の観察、汚損物質の観察を通して洗浄方法別に比較を行った。3カ年計画の最終年度であったが、再実験や追加実験により、新たに考察すべき点に気づき、再々実験を実施する必要があり、研究を延長することとなった。次年度は、今までの研究に基づき、報告書の作成および成果の公開を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、洗浄に関する先行研究の分析、資料収集、実験計画、資料作成および実験を行った。また、文化財修復における洗浄に関する手法についての情報収集とその分析を行った。先行研究など関連分野の文献収集および分析においては、欧州(イギリス、アイルランド、ベルギー、フランス)における洗浄手法および専門機器に関する調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の予定としては、文化財の汚損状況、汚損原因の把握、分類について、今までの実験データの分析および追加実験を行う予定である。 超音波を用いた洗浄では、洗浄工程、洗剤による効果の顕著な相違が見られることから、その点に着目し、重点実験を行い、効果的な洗浄手法および洗剤について追及する予定である。 素材別の洗浄手法および洗剤については、測色計による色差データに基づいた評価実験を行う予定である。 光沢に関する実験では、光沢計で計測した光沢値のデータによる評価実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
フランスにおける洗浄に関する調査が、調査対象の機関の都合により、調査が延期となったため、使用額が生じた。また、実験計画の見直しにより、実験機器および試料の購入に変更が生じたこと等から、次年度使用額が生じた。
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