2016 Fiscal Year Research-status Report
家族を介護し、看取った死別経験者の心理変容プロセスに関する縦断的研究
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15K00740
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
渡邉 照美 佛教大学, 教育学部, 准教授 (60441466)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 死別 / ケア / レジリエンス / 死生心理学 / 生涯発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は家族を介護し、家族を亡くされた方の心理変容プロセスを縦断的に解明することが目的である。2年目にあたる平成28年度はこれまでの面接データをレジリエンスの視点から再分析し、新たな面接調査に着手した。その詳細は以下である。 まず昨年度、理論的検討を行ったが、その結果、死別経験後の心理変容の現代的キーワードとして、レジリエンスの視点が明らかになったため、平成28年度は、その視点から面接データを再分析し、死生心理学をテーマにしたシンポジウムで発表を行った。分析結果から、死別経験は人生を揺るがすような辛く悲しい出来事であることは事実であるが、喪失直後であってもレジリエンスを発揮する人は少なくないということが明らかになった。従来の研究にもあるように、大切な人が亡くなって圧倒される人も存在し、亡くなり方によっても、その後の心理変容に違いはあるだろう。そのことは十分に認めた上で、今回の分析結果から、死別経験後、なお生きていくということは、死別を疾風怒濤の出来事ととしてだけとらえるのは不十分であることが示唆された。また肯定的変化に着目するだけでは不十分であり、死別経験を人生の一部としてとらえ直すことの必要性も示された。 次に縦断研究として、前回10年前に面接調査に協力していただいた方を対象に、平成27年度に開始予定であった面接調査に着手した。このデータの詳細な分析については、平成29年度に実施予定であるが、10年という時間を経て、死別への思いの変化や自身の死についての深まり等の変化が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度から平成28年度にかけて産前産後休暇を取得したため、当初の予定よりもやや遅れている。また面接協力者の体調等の問題もあり、当初の予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は平成27年度にできなかった面接調査に着手をしたが、その分析を早急に行う予定である。また死生心理学研究会の幹事になったため、その場でも積極的に研究成果の公表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度から平成28年度にかけて産前産後休暇を取得していたことにより、研究計画が予定よりも遅れている。そのため、面接調査や学会参加等で使用予定だった旅費や謝金を使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は平成27年度・28年度に遅れてしまった研究計画を着実に進めていく。面接調査や死生心理学研究会への参加等、積極的に研究を行う予定である。
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Research Products
(4 results)