2017 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者の歩行安全を目的とした新たな高視認性衣服の開発
Project/Area Number |
15K00745
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
落合 信寿 産業医科大学, 医学部, 助教 (90386649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 交通安全 / 衣服 / 装備品 / 色彩 / デザイン / 視認性 / 誘目性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高視認性衣服(high-visibility clothing)とは、着用者の安全確保を目的に、蛍光色生地と再帰性反射材を用いて視認性・誘目性を高めた衣服であり、路上作業者等のユニフォームの規格として、日本では2015年にJIS T 8127(高視認性安全服)が制定されている。この規格は、視認性、誘目性の高い特定の蛍光色生地を一定面積以上用いることで、運転者等から瞬時に発見されるように配慮しており、自力での危険回避が困難な視覚障害者の交通安全にも応用可能である。 本研究は、視覚障害者の交通安全に寄与するための新しい高視認性衣服の試作開発を目的としている。それには、視覚障害者のニーズを把握するとともに、視覚障害者の心理・行動特性に配慮した試作開発を行うことが重要である。 本年度は、高視認性衣服に対する視覚障害者のニーズについて把握するために、視覚障害者の同居家族で日常的に介助をしている成人146名(男性78名、女性68名)を対象にインターネット調査を実施した。その結果、高視認性衣服に対する一定のニーズが認められた。しかしながら、目立ち感の高さに起因する着用への拒絶・抵抗感が存在することも明らかになった。一方、衣服や持ち物の一部に視認性・誘目性の高い素材を使用した場合、利用の意思を示す介助者が多くみられた。これより、全身に纏う衣服以外に、バッグや帽子等の装備品類に蛍光色生地や再帰性反射材を取り入れた製品も視覚障害者のニーズに適していると考えられる。 更に、高視認性衣服の専門家であるデザイナーの協力を得て、視覚障害者向けの高視認性製品の候補として、ベスト2種類、帽子2種類、ボディーバッグ1種類にオレンジ、イエローの蛍光色2色を配した10種類のデザイン案を作成した。今後、このデザイン案の評価結果に基づき、視覚障害者向け高視認性製品の試作品を決定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
視覚障害者の介助者を対象とした調査の実施にあたり、調査方法、調査項目の選定や対象者の確保等の検討に相当の期間を要した。そのため研究の進捗に遅れが生じ、本年度はデザイン案の作成と評価を実施する段階までしか進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の推進にあたり、高視認性衣服に関する高度の専門性を有するデザイナーに研究協力者として全面的な協力が得られるようになった。今後は、研究協力者の支援により、デザイン案の評価結果に基づく視覚障害者向け高視認性衣服・装備品の試作品製作を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由:本年度は研究最終年度であるが、当初の目的である視覚障害者向け高視認性衣服の試作品製作の段階まで研究を進めることができず、次年度使用額が生じた。 使用計画:研究期間を1年間延長して、視覚障害者向け高視認性衣服・装備品の試作品の製作費、試作品の使用評価の実施、成果発表の旅費等に使用する予定である。
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