2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00750
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
木村 裕和 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80359372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西松 豊典 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (40252069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人体帯電 / 着衣の静電気帯電 / 新規静電気人体帯電測定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な着衣および各種作業服着用時におけるヒトの動作にともなう静電気帯電現象を明らかにした上で,新規静電気人体帯電測定法の開発を行うこととその工業標準化を目的としている.平成27年度までに実施した紳士用スーツおよび作業服に加え,人体帯電防止用作業服,Tシャツ,ポロシャツ,複数のジャケットなど多くの種類の着衣を試料として用いた実験的検討を進めた.その結果,考案した椅子からの立ち上がり動作により生じる人体帯電圧によって衣服の静電気帯電性を合理的に評価できることを確認した.さらに,一定の条件で摩擦運動を行った後に脱衣する動作によっても着用衣服と人体帯電性との関係が評価できることを新たに見出した.この2通りの試技によって着用衣服と人体静電気帯電現象との関係を再現性高く計測できることを確認した.特に,脱衣試技による実験結果から静電気帯電防止作業服であっても人が静電気放電ショックを感じる水準(人体帯電圧≧3000V)の帯電圧が検出されるケースや静電気放電火花が発生する水準の帯電圧が生じる(人体帯電圧≧5000V)ことが判明した.この結果は,作業環境などによっては深刻な静電気事故を招く恐れがあり,静電気事故防止の観点などから本研究で得られた知見の発信に努めてゆく.また,今後,これらの試技の標準化を試みる.なお,一連の研究成果については平成29年度の繊維学会秋季大会などでの発表および静電気学会誌あるいは日本繊維学会のジャーナル誌などへの投稿を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は次の1~3の検討項目を実施した.1.紳士用スーツおよび制電加工紳士用スーツを用いて人体帯電圧検出方法と測定条件の探索的調査実験を行った.2.労働安全,作業安全のリスクを最大限考慮した条件の確定.椅子張り生地と着衣とを約20°の角度で一定時間摩擦させた後,動作椅子からの立ち上がり動作にともなう人体帯電圧を検討し,その再現性と定常性を確認した.3.得られたデータと電気抵抗率,摩擦帯電電荷圧との関連性を検討した. 平成28年度には次の1~3実験的検討を実施し,当初の予定通りに進捗している.1.平成27年度に考案した人体帯電圧測定法について多種多様な着衣による実験と複数の被験者による実験を行い,考案した試験方法の妥当性と普遍性に関するエビデンスを収集した.2.新たに一定条件で摩擦運動を行った後,すばやく脱衣することで着用衣服が人体帯電圧に与える影響を評価できることを確認し,帯電防止作業服着用時であっても静電気放電の危険性があることを見出した.3.人体帯電圧と電気抵抗率,半減期ならびに摩擦帯電圧などとの関連性について検討を加え,実際の作業安全を確保するという観点から2通りの試技を考案した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,人体帯電圧による着用の静電気帯電量測定法の整備を行う.フリースやスポーツウエアなどを試料とした系統的実験が未実施であるため,これらを試料とした実験を進め,提案した2通りの試技の妥当性と合理性を示す予定である.将来的には,工業標準化を目指しており,そのための実験条件の整備と試技,実験手順のマニュアル化(標準化)にも取り組む計画である.
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Causes of Carryover |
被験者実験に用いる作業服および静電気帯電防止作業服ならびにフリース衣料,スポーツウエアなどの購入が遅延したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度請求額と前年度未使用額を合わせて被験者実験に使用する試料を購入する予定である.
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