2016 Fiscal Year Research-status Report
住み手に魅力的存在であり続ける建物の物理的要素と心理的要素の探究
Project/Area Number |
15K00751
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳瀬 亮太 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (10345754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 昌洋 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (10528756)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 住宅の魅力 / 戸建て住宅 / 敷地 / 建築家 / 現地調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
住み手に魅力的存在であり続ける建物の物理的要素について検討するために、約50年の歴史を有する団地における戸建て住宅を対象とする現地調査を実施した。現地調査にあたっては、対象団地の住民の方々に加え、長野県建築士会の方々にご協力いただいた。 調査内容は基本的に別の対象地で実施した昨年と同様に設定し、調査対象街区を記載した地図を被験者に配布し、街区内を調査対象地を事前に決定した順路にしたがって巡る中で110戸の戸建住宅(店舗併用住宅を含めない)について外観の魅力度を4段階(1~4点)で評価させた。それだけでなく、特に気になる建物については、建物に関する感想や意見を自由に記述させた。収集したデータは、昨年の調査データと比較分析した。その結果、窓枠に木材ルーバーが使用され、玄関先に下屋のあるなど「和風な印象の建物」が好まれる傾向が見られた。また、自由記述欄への回答に「平屋建てであり、住みやすそう」といった記述が比較的多く見受けられ平屋建てが高く評価される傾向にあった。 調査対象地に関わる物理的に明確な違いとして、敷地の面積(昨年は約50坪、今年は約100坪)や街区の歩行環境が把握されていたが、建築年代や材料などに顕著に感じられる違いが無かった。そのためか、抽出されたデータの統計分析(有意差検定)の結果では、両者に有意差は認められなかった。本研究のような現地調査の場合、「建築面積を除いた敷地面積の広さ」は住宅外観の評定に大きく影響しないものと推察された。加えて、昨年度に学生を対象として実施した調査におけるデータと建築士のそれとを比較したところ、約1/3の住宅に対する評価に有意差が見られ、前者の評価が全般的に高かった。その一方で、逆の傾向が示された住宅も一部認められ、人間に起因する要素についての考察も必要と感じられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度、長野県内にて予定通り実施した2つの現地調査と1つのウェブ調査にて収集したデータを分析し、1)玄関先に下屋のあるなど「和風な印象の建物」が好まれる傾向、2)平屋建てが高く評価される傾向、3)「建築面積を除いた敷地面積の広さ」が住宅外観の評定に大きく影響しない考察などをえた。また、えられた成果は学会大会や国際会議で発表するなどに至った。 また、平成28年度にも長野県内の別地域で現地調査を実施し、新たなデータを収集した。分析は概ね終えており、平成29年度中には学会大会や国際会議での発表に加えて、学会誌への投稿を予定している。 以上の進捗状況をふまえて、本研究の目的を達成しつつある(おおむね順調に進展している)と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね順調に進展しており、研究の推進方策に関わる大きな変更は生じない予定である。平成27年度および平成28年度に収集したデータに加えて、現地調査を1つ追加して実施し、それらのデータを総合的に分析・考察することで当初の目的は達成できると考えられる。 また、建物の材料および構法といった変数が、住宅に対する第3者の印象形成に及ぼす影響については、画像処理技術を用いた実験を計画・実施することで充分な検討ができ、意義ある結果がえられると思われる。
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Research Products
(6 results)