登下校時や放課後の子どもを犯罪から守る持続可能な地域防犯活動のあり方に関する研究

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K00752
• Research Institution: Nara Women's University
• Principal Investigator: 瀬渡 章子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60179348)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 地域自主防犯活動 / 犯罪予防 / 子ども防犯 / 防犯環境設計 / 防犯まちづくり

Outline of Annual Research Achievements

子どもが下校時や放課後に一人きりになる機会を狙った犯罪の増加傾向を受けて、地域の力を効果的に活用して子どもの犯罪被害を未然に防ぐ方法を探るのが本研究の目的である。地域では10数年前の刑法犯罪の急増に対応してさまざまな自主防犯活動が展開され、子どもの安全確保の活動もその一環である。しかし人口減少化の時代、地域の自主防犯活動はさまざまな課題を抱えている。そこで本研究は、地域の自主防犯活動の実態および地域で子どもが一人になる状況を把握し、環境整備も含む持続可能な地域防犯のあり方を検討するものである。
平成27年度は、全国の自主防犯活動団体の中でもとりわけ子どもの見守り活動を活発に行っている団体を対象にアンケート調査を実施した（全国４５道府県548団体に調査票を配布し、484団体から回答を得た。回収率88.3％）。その結果の概要は以下の通りである。
活動団体は、主に自治会・町内会など地元既存組織により構成され、メンバーは60代、70代中心である。活動は、登下校時の子どもの見守り、青パトによる防犯パトロール、徒歩での防犯パトロール等が日常的に実施されており、それ以外に「子ども110番の家」設置協力、立て看板・のぼりの設置、防犯教室の開催、地域安全マップの作成、防犯カメラの管理・運用など環境整備も含め多彩である。活動の課題として参加者の高齢化、人員確保の困難さ、活動のマンネリ化等が指摘されたが、今後に対しては現状維持の指向が中心を占めた。これには、活動の現状を評価する理由と、これ以上の活動は参加者に負担であるとする理由が相半ばしていた。これまでの活動の成果として、安心感や防犯意識の向上が自覚されていた。活動継続の大きな要因は、参加者の意識の高さ、活動に対する地域住民の理解・協力、警察からの活動支援等と考えられており、多くの参加者が活動にやりがいや楽しみを感じていた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初、平成27年秋には地域自主防犯団体対象のアンケート調査を実施する予定であったが実施時期が遅れた。遅れた理由は、調査内容の慎重な検討とともに防犯団体の特定が困難な状況が判明し、途中から調査依頼方法を改める等、準備に予想以上に時間を要したためである。その結果、調査票の回収締切が平成28年2月末となり年度内に調査結果の分析が終了しなかった。また当初の予定では、調査結果を受けて、防犯団体への聞き取り調査を行う予定であったのが年度内に実施できなかった。

Strategy for Future Research Activity

今後は、より具体的な活動の工夫状況を整理し、活動の持続可能性の検討を深めていく予定である。また、平成２７年度の調査協力団体の中から特徴的な活動団体を選定して、直接聞き取り調査を行い、地域防犯活動の継続可能性の要件について検討する。さらに、小学生が下校時または放課後に一人きりになる状況を把握して、その結果を地域防犯活動および防犯教育にどのように活かせるかについて検討していく。

Causes of Carryover

当初、平成27年秋には地域自主防犯団体対象のアンケート調査を実施する予定であったが実施時期が遅れた。遅れた理由は、調査内容の慎重な検討とともに防犯団体の特定が困難な状況が判明し、途中から調査依頼方法を改める等、準備に予想以上に時間を要したためである。その結果、調査票の回収締切が平成28年2月末となり年度内に調査結果の分析が終了しなかった。当初の予定では、調査結果を受けて、防犯団体への聞き取り調査を行う予定であったのが年度内に実施できず、そのため旅費、調査結果分析に係る謝金などを繰り越すこととなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

前年度の調査結果の分析を深めるとともに、さらに具体的な追加情報を収集して結果の分析を深めるために、防犯団体への聞き取り調査を行う。