2017 Fiscal Year Research-status Report
南九州における隠居家の変遷とその住生活に関する住文化研究
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15K00755
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
米村 敦子 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10167041)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 隠居家 / 南九州 / 宮崎県南部 / 住文化 / 住生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に宮崎県日南市の全9地区154自治区を対象に「隠居家と住文化に関する地区調査」を実施し、全地区で隠居家の伝統が読み取られ、特に南郷地区によく残る状況を把握した。その結果は日本家政学会九州地区大会で発表した。次年度は、この結果を基に南郷地区において隠居家及び伝統的民家の住宅実測調査・聞き取り調査を実施し、その詳細な状況を日本家政学会大会で発表した。 3年目の2017年度にはえびの市・小林市・串間市・都城市・三股町・高原町で同調査を実施し、えびの市の結果を日本家政学会九州地区大会で発表した。先行した日南市を加え、宮崎県南部5市2町、全39地区782自治区を対象とした隠居家調査(有効回答547)の結果を総合的に分析すると、 5市2町全地で「隠居家が今もよく残る」9%、「わずかに残る」29%、「残るが空き家が多い」23%、「今はほとんどない」26%「、昔も今もない」8%と、隠居家の伝統がみられた。「今もよく残る」の回答は小林市と串間市に高い。隠居家の建物配置(複数回答)は「本家(主屋)と別棟(離れ)」77%、「本家に付設」19%、「厩や納屋の一部」7%等(不明を除く)がある。地域特性として、「別棟」は高原町と串間市、「本家付設」は小林市とえびの市、「納屋等の一部」は串間市と小林市に高い。隠居家は農家住宅に多く、隠居家(「インキョ」と呼ぶ)と本家(「トジュ」と呼ぶ)の生活は「食事も家計も別々」「住み方として現代も合理的」とされていた。隠居家を有す理由として、農業の協働と継承と親子の独立性の両立、旧薩摩風習の影響等があがっている。地区評価は人・自然・文化に集中し、各地で過疎化・少子高齢化が進む中、防災・交通道路・地域施設整備等の課題を抱え、隠居家も空き家が増えて、住文化の衰退を危惧する意見もみられた。この研究成果は2018年度日本家政学会大会において発表する(受理済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
宮崎県南部5市2町全39地区782自治区を対象とした隠居家調査と隠居家及び伝統的民家の住宅実測調査・聞き取り調査を実施し、その結果を日本家政学会において3回発表してきた。しかし、鹿児島県・熊本県との比較検討を残しており、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
中心的対象である宮崎県南部の状況については調査を実施したが、その比較対象となる宮崎県中部および隣県の鹿児島県・熊本県の対象市町村を抽出して調査研究を広げていく計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度も調査研究を継続するため、繰越金を残した。 (使用計画) 継続して実施する調査費用とする。
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Research Products
(3 results)