2017 Fiscal Year Research-status Report
住民参加型在宅福祉サービスにおける制度外介護予防事業参画の条件に関する研究
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15K00758
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田中 智子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20197453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 順子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90331735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 介護保険 / 介護保険外サービス / 在宅継続 / 非営利活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大阪府に設置されている「街かどデイハウス(以下、街デイ)」全127カ所を対象としたアンケート調査、および8件を対象に訪問調査を実施した。 街デイは、2000年に大阪府(政令市、中核市を除く)の事業として制度化され、中学校区に1カ所を設置目標として整備された施設で、高齢者をボランティアとして活用し、地域の居場所づくりを目的としていた。度重なる制度変更の影響を受けてきた街デイであるが、2015年からの総合事業の実施に伴い街デイ事業の廃止や打ち切りが検討されている。 アンケート調査の結果、自立高齢者のみならず、要支援や軽度認知症の高齢者も受け入れている施設が多く、昼食やレクリエーションの提供を通して仲間づくりを行う地域福祉施設としての役割を果たしていること、実施主体は、NPO法人だけでなく任意団体や個人などであり、パートタイマーや有償ボランティアなど低賃金のスタッフの善意に支えられていることがわかった。 訪問調査では、市の方針によって、補助金額や実施内容に大きな違いがあることがわかった。利用者の大部分が自立高齢者である場合と、虚弱高齢者が大部分で総合事業に近い内容の街デイがあった。総合事業になると事務作業の煩雑化と補助金の減額が見込まれ、存続できないと考える街デイが多かった。自立高齢者の利用が多い街デイでは、総合事業への移行に不安がみられる。総合事業にうまく移行できている事例では、市が補助金を拠出して誘導していた。 街デイは住民組織型の小規模の住民参加型在宅福祉サービスと位置づけられるが、このような組織が総合事業を担うには、スタッフの専門性向上のための研修や、十分なスタッフを集めるための財政的裏付けが不可欠であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定している海外調査の企画・実施のための人件費が予算をかなりオーバーすることがわかり、使用する費用を節約した結果、郵送調査と近畿圏の訪問調査が中心となった。総合事業への経過措置期間であるため、市町村の対応が決まっていない事例も多く、調査対象の選定にも手間取った。 家庭の事情(近居の両親の介護)のため、遠方の調査の実施が困難であったことも遅延した理由である。2017年12月からショートステイの利用ができるようになったため、出張などができる条件が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツでは法的に位置づけられた住民組織が様々な活動を実施しており、高齢者支援の活動も含まれる。ドイツは日本が介護保険制度を確率する時に参考とした介護システムを持ち、家族制度も日本と近似した面を持つことから、海外調査対象をドイツを候補として、現地在住者と調査打合せを実施しているところである。 補足的な国内調査も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
家庭の事情のため調査期間を1年延期し、海外調査を4年目である最終年度に実施予定である。海外調査の企画・実施のための人件費および、調査データの解析作業のために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)