2017 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化に伴う住環境の好温性真菌相の変化とそれに対応した住まいの創造
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15K00774
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
濱田 信夫 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 外来研究員 (40270764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 仁一郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (10321936)
岩前 篤 近畿大学, 建築学部, 教授 (90368283)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 好温性カビ / 室内環境 / 高湿度 / 病原性真菌 / 室内塵 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、エアコン中のカビ汚染など、住宅内の好温性カビの汚染状況についての実態調査を行ってきた。その中で、好温性カビは室内環境では、高温部分に局在するのではなく少数ながら常在することが分かってきた。これは、日本のような温帯地域の特性である可能性があるのではないかと考えた。そこで、大阪のような温帯地域が温暖化して、亜熱帯気候に移行した場合の好温性カビの挙動について検討する必要があると考えるに至った。とりわけ、その採集が比較的な簡単な室内塵について、好温性カビの挙動の実態調査を行った。大阪府内やその周辺について,2015-2017年に夏の調査を行うとともに,冬の場合との比較を行った。また,地域的違いを調べるために,大阪府よりより温暖な気候である高知県や沖縄県との比較を行った。好温性カビは,これまで知られていた水回りやエアコンのほか,カーペットだけでなくフローリングなど室内環境のあらゆる部分に,個体数は多くはないが,一定数常在していることが分かった。また,水回りなどとは種類の異なったAspergillus fumigatusなどの好温性カビが生育していることが分かった。これらのカビは冬に比べて夏に多く,夏でも暑い年により多く,大阪より亜熱帯気候であり、とりわけ夏の湿度の高い沖縄に多いことが明らかになった。今後地球温暖化が進行し,気温が上昇し,かつ湿度が上昇すれば,大阪などでもA. fumigatusなどの好温性カビ汚染が増加する可能性があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間は、室内環境中各所の好温性カビの分布調査を行ってきた。本年度から、地域ごとの調査を開始した。室内の好温性カビ汚染に影響する要因として、温度だけでなく湿度が重要であることを新たに明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、昨年度に引き続いて、地域ごとの好温性カビの分布を明らかにしたい。その材料として、真菌症の原因菌の原因菌であるA. fumigatusだけでなく、最も一般的な表皮真菌症である水虫菌(Trichophyton)についても調査を行いたいと考えている。即ち、温暖化に伴って、気温とともに、湿度の上昇が見られれば、Trichophytonの繁殖も見られる可能性があると思われるからである。そして、その対策について有効な方策についても検討したい。
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Causes of Carryover |
購入予定の消耗品が、予定より安価で手に入ったため
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Research Products
(5 results)