2015 Fiscal Year Research-status Report
紫外光を用いた低分子機能性材料および繊維の改質制御による機能保持
Project/Area Number |
15K00775
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
堂ノ脇 靖已 福岡県工業技術センター, その他部局等, 研究員 (80416528)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 繊維 / 改質 / 紫外光 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊維材料に対して「快適性」を求める社会的ニーズがあり、そのための機能性素材の開発が行われている。更には製品化する上で、機能性材料の機能保持は重要な研究課題となっている。独自の調査から、繊維への機能保持には繊維および機能性材料の両者を改質制御することが必要との仮説結果を得ており、本研究ではこの仮説の実証と機能保持条件を明らかにすることを目的としている。両者の改質制御は主に紫外光(172~254 nm)を用いて、イオン化官能基など分子間相互作用を生じる官能基を導入する手法により行う。また、機能性材料は一般的に粉体形状であるため、高効率粉体用照射装置を新たに開発して、官能基導入効果を高め、粉体の改質制御範囲の拡大を図る。以上のことから、平成27年度は研究課題を以下の3つに設定し、取り組んだので、概要を記す。 【(1)紫外光処理における繊維表面改質】 172 nmエキシマ照射ユニットを導入し、時間や照射距離を変化させた際の照度を明らかとした。これらの条件等を用いて、ポリエステル(PET)や絹繊維の処理を行い、置換基導入量をXPS(X線光電子分光)にて評価した。この結果、照射後の繊維表面の酸素(O)/炭素(C)は、照射前に比べて最大で2倍となり、異なる条件下では窒素(N)/Cが1.7倍程度増加できた。このことから、条件設定によりOやN置換基の導入と制御が確認できた。 【(2)低分子機能性材料(粉体)用紫外光照射装置の開発】 研究協力者や紫外光ランプ装置メーカ等との協議により、粉体を均一に照射できると考えられる設計を行った。 【(3)機能保持条件の確立】 (1)で得られたサンプル等を用いて、固着機能を評価した。特定の処理条件にてPETではOの増大により、カチオン性染料の固着性が新たに発現でき、繊維改質による効果を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
【研究実績の概要】に記載した研究課題(1)(3)について当初の目標に対して遅れている。以下に研究項目毎に理由を記す。 【(1)紫外光処理における繊維表面改質】 導入した172nmエキシマ装置のランプ不具合により1か月程度の遅れが生じた。このため高分子化合物をメディエータとした官能基向上が実施できなった。またゼータ電位により表面状態を測定する予定であったが、測定器本体の不具合により実施できなかった。 【(3)機能保持条件の確立】 上記(1)に伴い、サンプル作製が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に記載の装置修理を行い、計画通り、実施する。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】に記載の通り、サンプル作製に遅延が生じたため、試薬や繊維生地などの消耗品を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅延分の研究課題は平成28年度に行うことから、計画通り使用する。
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