2015 Fiscal Year Research-status Report
食肉の新鮮度を評価する電気化学的マイクロ分析システムの開発
Project/Area Number |
15K00776
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐竹 隆顯 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00170712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪田 治 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30391197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気化学的マイクロ分析システム / 食品分析 / 豚肉の品質評価 / 新鮮度 / 核酸関連物質 / 簡易測定 / Ki値 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品の新鮮度や安全性といった品質評価では、従来から化学分析法やHPLC法等により定量が行われてきたが、これらの定量分析法は化学分析に関する知識や技術、あるいは据え置き型でかつ高額の分析装置を必要とするとともに測定・検出に長時間を要し、食品の生産・流通の現場においては簡易な分析法ではなかった。このため、本研究では食品分析分野において初めてとなる食肉(豚肉)の新鮮度を簡易に測定可能とする電気化学的マイクロデバイスの開発研究を行っている。H27年度においては1、豚肉のロース肉を殺後15日間、0℃~6℃で冷蔵貯蔵を行う一方、この間に変化する核酸関連物質の定量をUPLCにより行った。2、豚肉の新鮮度の総合評価値としてK値およびKi値を用いることとし、同値を算出可能とするμTASの構成とサイズを検討した。3、測定サンプルを受ける反応セルをPDMSで4つ形成するとともに、各セルの下部には白金、銀/塩化銀等からなる3つの電極をガラス基板上に溶着して1組のセンサとした。また、各センサの作用電極表面に測定対象核酸関連物質毎にキサンチン酸化酵素、ヌクレオシド・ホスホリラーゼ、アデノシン・デアミナーゼ等の酵素をクロスリンク法、ジェル固定法等により固定した。最後に4、豚肉の新鮮度を評価するプロトタイプのデバイスを試作した。また、各反応セルの下部に設けた3つの電極を定電位電解装置と結び、0.7Vの印加電圧を与える一方、電流の変化を記録、酵素活性を測定し、各核酸関連物質の定量を試行的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成27年度の実施計画を概ね遂行することができた。すなわち、1、豚肉のロース肉をビニール袋で包装し、と殺翌日から15日間、0℃~6℃で冷蔵貯蔵を行う一方、この間に変化する核酸関連物質(ATP、ADP、AMP、AdR、Ino、Hx)の定量をUPLCにより行った。2、豚肉の新鮮度の総合評価値として魚肉の鮮度評価にも用いられるK値およびKi値を用いることとし、同値を算出可能とするμTASの構成とサイズを検討した。3、前処理したサンプルを受ける反応セルをPDMSで形成するとともに4つ配列し、各セルの下部には作用・参照・補助の3つの電極(素材は白金、銀/塩化銀等)をガラス基板上に溶着して1組のセンサとした。また、各センサの作用電極表面に測定対象核酸関連物質毎にキサンチン酸化酵素、ヌクレオシド・ホスホリラーゼ、アデノシン・デアミナーゼ等の酵素をクロスリンク法、ジェル固定法等により固定した。4、一方、電極表面からの固定酵素の溶脱を抑えるためにウシ血清由来のアルブミンおよびグルタルアルデヒド溶液と各酵素を混合して用いた。5、これまでに得られた知見に基づき豚肉の新鮮度を評価するプロトタイプのデバイスを試作した。また、各反応セルの下部に設けた3つの電極を定電位電解装置と結び、0.7Vの印加電圧を与える一方、電流の変化を記録、酵素活性を測定し、各核酸関連物質の定量を試行的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した各年次計画に沿って研究を推進する予定である。 研究初年度の実施状況からして、十分に期待される成果が見込まれる。
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