2015 Fiscal Year Research-status Report
コメ離れに対応する海藻つなぎ米粉麺の製造と特性評価
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15K00778
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山口 智子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70324960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 智美 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 助教 (20740244)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 米粉 / フノリ / 麺 / 機能性 / 物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
米粉麺の製造において、紅藻類の海藻であるフノリをつなぎとして用いることで得られる効果を解明するために、本年度はフノリの機能性とフノリを添加した米粉麺の調製法を検討した。 まず、フノリの機能性としてDPPHラジカル捕捉活性、ペルオキシラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量を測定したところ、野菜類に比べていずれの値も低く、フノリの抗酸化性は比較的低いことが明らかになった。しかし、フノリはβ-カロテンや食物繊維、フノランなどが豊富であるため、その他の機能性が期待できると思われる。 次に、新潟県産コシヒカリ米粉を主材料として、加水率を変えて米粉麺の調製を検討したところ、フノリ添加率4%、加水率84%において、十分な長さで枝分かれが少なく、生麺・ゆで麺ともに形状の最も良い麺が、米粉100%の使用においても調製可能であることがわかった。麺の形状はもろさを考慮して平麺、使用する水の温度は常温、ゆで時間は1分30秒が適切であった。物性評価としてゆで麺の破断試験を行ったところ、小麦粉麺では歪率80%付近で破断するのに対し、フノリを添加した米粉麺は歪率が100%になっても破断しなかった。生麺を比較しても、フノリを添加した米粉麺の歪率が高く、フノリを添加した米粉麺は弾力性があることがわかった。時間経過による物性の変化を比較すると、小麦麺は変化が少ないものの、フノリを添加した米粉麺は時間経過とともに軟らかくなっていた。 以上のことより、米粉麺の調製において、フノリを添加しない場合は米粉の配合割合は30%が限度であるため、フノリの添加が米粉の使用割合を大きく増加できることとなった。また、小麦粉麺に比べてゆで時間も短くて済み、食塩を不使用でも弾力性のある麺が調製できるため、フノリを用いた米粉麺は減塩にも繋がることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フノリの抗酸化性が低いこと、米粉100%の麺の調製法が確立できたこと、米粉麺の物性の特徴が明らかにできたことで、米粉の利用拡大につながる成果が得られた。また、市販のフノリを使用した麺(うどん、そば、素麺)の評価も行ったころで、今後、改良を検討する際には参考にできると考える。しかし、抗酸化性以外の指標として計画していた食物繊維の定量ができなかったこと、物性試験においても破断測定以外の検討ができなかったことが、やや遅れている理由に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
米粉100%の麺の調製法が確立できたが、フノリの抗酸化性が低く、フノリの抗酸化性の測定のみなら食物繊維の定量やその他の機能性の指標の検討をする必要があることがわかったことから、血糖値の上昇抑制に関連する指標を取り入れていきたい。そのため、その測定法を検討するとともに、血糖値の上昇をゆるやかにするとされている高アミロース米の米粉を使用していくこととする。
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Causes of Carryover |
抗酸化性以外の測定が出来なかったこと、物性評価における破断測定以外の測定ができなかったことが、残額が生じた原因になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
食物繊維量測定のための酵素キットや物性の新たな評価法に用いる筋電計の購入を検討している。
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