2015 Fiscal Year Research-status Report
画像処理を用いた嚥下計測装置の開発ととろみ食品調整指針の提案
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15K00781
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 邦人 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70283281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 咀嚼・嚥下 / 嚥下計測装置 / 画像処理 / 嚥下計測 / 照度差ステレオ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、嚥下機能の定量的評価法としては、X線による嚥下造影検査法、3次元距離センサを用いる方法、ならびに喉に圧力センサを取り付ける方法等が知られている。この中で、X線検査法が最も多用されているが、被ばくの危険性のために検査を重ねて行うことはできない。3次元距離センサを用いる方法は簡便ではあるが、被験者の体を強く拘束する必要があり、不自然な嚥下運動となりやすい。また、喉にセンサを取り付けるとセンサが通常の嚥下を阻害し、正確な計測が困難となる。このような問題に対し、画像処理を用いた非接触型嚥下計測法を考案し、健常者の飲料の嗜好を評価する研究を行ってきた。 本手法は、3台の不可視な近赤外光照射装置とカメラを用いて、照度差ステレオ法により喉表面の3次元法線ベクトルをリアルタイムで計測するものである。これで計測した3次元の表面情報を基に甲状軟骨の突起部(喉仏)周りのプロフィールの画像処理により、健常者の嚥下状態の計測を可能にした。しかし、高齢者への適用を考えた場合、喉の皺等により計測できる対象が少なかった。そこで、本手法を高精度化し、喉の皺で観測が難しい介護老人へも適用できると考え、研究を行った。 本年度は、嚥下計測装置の精度向上のため、高精度な照度差ステレオ法を用いた面法線ベクトル計測方法の開発を行った。嚥下計測装置の高精度化のために、18bit(262,144階調)カメラセンサーを用いた新しいカメラシステムの構築を行い、高精度な面法線ベクトル計測カメラシステムの開発を行った。面法線ベクトル計測カメラシステムの開発にあたり、安定した計測が行えるようシステム構成の改良、ならびに近赤外照明の波長選定を行った。さらに、従来システムで計測が難しい被験者を用い、嚥下計測装置の精度評価を行った。あわせて、嚥下計測画像処理アルゴリズムの開発を行い、計測精度向上の可能性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り現在の8bit(256階調)カメラセンサーから18bit(262,144階調)カメラセンサーへ変更を行うことにより、面法線ベクトル計算精度の大幅な向上を行う高精度嚥下計測装置の作製を行った。システム設計を行い開発を行ったが、システムの納品が遅れたこともあり、精度評価は次年度に行うこととなった。 しかし、旧システムを用いて平成28年度に予定していた嚥下計測アルゴリズムの開発に着手し、一定の精度向上を得ることができた。 高精度嚥下計測装置についてはH28年度4月に納品予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
高精度嚥下計測カメラシステムの完成の遅れより、本年度予定していた計測精度評価を行うことができなかったため平成28年度はカメラシステムの精度評価を行う。 また本システムに、平成27年度の成果である改良型画像処理アルゴリズムを適用し、性能評価を行う。 実利用化を視野に入れた画像処理アルゴリズムの高精度化、ならびにリアルタイム計測に向けた高速化を行う。 以上を多数の被験者を用いて実験し、性能評価を行うことで問題点を明らかにし、さらなる精度向上を行う。
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Causes of Carryover |
高精度嚥下計測カメラシステムの設計に時間がかかり、納品が遅れたためカメラシステム費用が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年4月26日に納品予定のため、納品後繰越金にて支払う予定。
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Research Products
(2 results)