2016 Fiscal Year Research-status Report
画像処理を用いた嚥下計測装置の開発ととろみ食品調整指針の提案
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15K00781
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 邦人 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70283281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 嚥下計測 / 法線ベクトル計測 / リアルタイム3次元計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
非接触、非侵襲で、体の拘束も緩やかな高精度嚥下計測カメラシステムの開発を行った。昨年度開発が遅れていた18bit、3次元計測カメラの開発を完了し、法線ベクトル計測精度の評価を行った。結果、当初予定どおりの精度で計測できることが確認できた。また、30フレーム/秒でのリアルタイム計測も実現した。 また、嚥下波形計測のための画像処理アルゴリズムの開発を行った。まず評価のため、健常者の成人男性30名の嚥下映像を撮影し、甲状軟骨の運動データを収集した。これにより、嚥下運動が確認しづらい被験者のデータを得ることで、この被験者でも計測できるよう画像処理アルゴリズムの改良を行った。 動画で得られた高精度な喉表面法線ベクトル方向から嚥下機能を計測するのに最適な画像特徴量の選定を行った。甲状軟骨の凹凸が微小な被験者において、高精度な計測でも法線ベクトルの変化は微小であるので、嚥下によるわずかな変化を画像特徴量として抽出し、嚥下運動を計測する手法の開発に取り組んだ。単一の画像から甲状軟骨の位置を推定することは難しいので、動画像の連続情報を用い、位置的変化と時間的変化を抽出する法線ベクトル特徴を用いることで、甲状軟骨を安定に検出できる手法を開発した。 また、計測や嚥下波形の計算に時間が掛かると多数の被験者を用いた実験に支障をきたすので、画像処理アルゴリズムの高速化を行った。すべての画素で追跡すると計算量が莫大となるので、数画素間隔での計測が可能となるようにアルゴリズムを改良し、5画素程度の間隔であるならば、高精度で甲状軟骨を検出できることを確認した。これによる、従来よりもシステム全体の高速化を可能とした。また、計測システム全体の簡略化も検討し、計測自体にかかる時間の短縮も研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、カメラ設計に時間を要した結果、18bit、3次元計測カメラの開発が予定よりも5ヶ月ほど遅延した。これにより、画像処理アルゴリズム開発のためのデータ計測ができず、全体の進行に影響が出たが、本年度のアルゴリズム開発は概ね予定に近いスケジュールで開発を行った。ただし、カメラシステムの開発が遅れたことにより、倫理委員会での承認ができなかったため、当初予定していた老人での撮影には至らなかった。本年度末に倫理委員会の承認も取れたため、次年度はデータ計測が可能となり、この遅れもすぐに解消されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発された、高精度嚥下計測カメラシステムを用いて、老人の嚥下状態のデータ収集を行う。岐阜大学医学部との共同研究により、ごく軽度の嚥下障害のある患者を被験者として、通常の嚥下造影検査の際、同時に高精度嚥下計測カメラシステムを用いて撮影する予定である。これにより、多数の被験者データを集め、画像処理アルゴリズムの高精度化と、嚥下波形生成手法の開発を行う。 また、健常者を用いて嚥下食のとろみ度合いの違いによる嚥下運動の計測を行う。連携研究者の指導のもと、とろみ調整を行い被験者の嚥下運動を計測する。同時に飲み込みやすさのアンケート調査を行う。次に、嚥下波形の評価法の開発を行う。計測装置で得られた嚥下波形ととろみ度合いの関係を、波形解析手法、ならびに統計的アプローチで明らかにし、評価法を確立する。これより、トロミ調整指針を作成する。明確な差が見いだせない場合、再度装置の精度評価、画像処理アルゴリズムの見直しを行い、評価法の改良につなげる。
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Research Products
(7 results)