2015 Fiscal Year Research-status Report
塩味受容体タンパクをセンサーとした塩味増強物質の探索とその単離・精製及び構造解析
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15K00800
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
塚本 義則 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60592079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤内 要 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (50329851)
石田 康行 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (70273266)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 塩味受容体遺伝子 / 塩味受容体タンパク質 / 塩味増強物質 / 電気生理学的アッセイ法 / ナトリウムイオンチャネル / チャネルブロックカー |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト由来の塩味受容体タンパクの遺伝子であると推定されているナトリウムイオンチャネル遺伝子であるENaCα,β及びδの内、先ずENaCαのcRNAを合成して、この遺伝子をアフリカツメガエルの卵母細胞にインジェクションしてタンパク発言させたものをセンサーとして用いるパッチクランプ法による電気生理学的アッセイシステムの基本形の樹立と塩味増強効果を有するサンプルの調製を目的に下記の課題について検討した。 (1)ENaCのNa+イオンチャネルのブロッカーとしての亜鉛イオン濃度のタンパク質発現への影響の検討(亜鉛濃度:0, 25, 50, 100μM) (2)Na+刺激としての食塩水のNa+イオン濃度の影響の検討 (3)塩味増強物質候補(市販のカテキン系、サンファイバー系、アミノ酸・ペプチド系のサンプル)の調製 その結果、(1)については、ENaCαタンパクの発現には亜鉛50μMが最も好ましく、これより低い及び高い濃度域ではタンパクの発現が悪く、また電気信号も安定しないことが分かった。加えて、電気生理学的アッセイに先立って亜鉛50μMに浸漬した卵母細胞はND96中の2倍量のNa+を含むND6バッファで2~3洗浄して、表面の亜鉛を洗い流す必要のあることが分かった。(2)については、ND96の2~6倍涼のNa+イオンまでは比較的濃度依存的な電気信号が生じたが、10倍以上では電気信号の応答が極端にひくくなる傾向を示したことから、最も安定した電気信号が得られたND96の2倍量のNa+イオンを含むバッファーでの電気信号をベースとすることにした。(3)については、太陽化学より提供を受けたカテキン系、サンファイバー系及びアミノ酸・ペプチド系の試料の1%ND96バッファー(対ND96 pH7.4)に対する透析処理して調製したものをアッセイ用のサンプルとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費の採択が2015年10月であったことを考慮すると、電気生理学的アッセイ系システムの樹立と塩味増強物質候補の調製という目的に対しては、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度中には下記の課題の完了を目標に研究推進していく予定である。 (1)ENaCα,β及びδのそれぞれ単発現系での塩味増強物質候補のスクリーニングの完了 (2)ENaCα,β及びδのそれぞれ共発現系(αとβ,αとδ,βとδの二つの遺伝子の発現 系及び三つの共発現) 2017年度中には2016年度にスクリーニングされた塩味増強物質候補の単離・精製とその構造解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
科研費の採択が2015年10月にずれこんだために当初計画書と比較して研究計画を変更せざるをえなくなり、消耗品などの購入が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度中には当初計画書通りの研究進展になるべく研究スピートをアップする予定である。使用計画に大きな差は生じない見込み。2016年度に予定の実験用消耗品購入と合わせて使用する。
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