2015 Fiscal Year Research-status Report
災害時における保温調理システムの構築-健康維持を目指して-
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15K00801
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
明神 千穂 近畿大学, 農学部, 講師 (90529752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正子 近畿大学, 農学部, 准教授 (20221038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害食 / 保温調理 / ビニール袋調理 / 省エネルギー / 抗酸化性 / アスコルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害が長期にわたると救援物質の食品中で大半を占めるインスタント食品や缶詰、おにぎりなどが続くことによる被災者の栄養不足が問題となっている。本研究では、災害時に避難所や自宅で最低限の調理道具を用いて省エネルギーかつ安全で衛生的に食材を調理し、被災者の健康維持のために必要な栄養素が確保できる、ビニール袋を用いた保温調理システムの確立を目的としている。具体的には、①災害地での調理内容の調査および課題抽出 ②ビニール袋での保温調理における野菜・米・イモ類の栄養、抗酸化性、物性の分析、おいしさの評価 ③災害地で調理可能なメニューや献立の整備を行い、栄養価が高く災害地で簡単にできる調理システムを構築し、その普及を目指している。 本年度は、①、②の野菜の栄養価、抗酸化性の測定を行うとともに、おいしさについての評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は①の項目の災害地での調理内容の調査および課題抽出においては、阪神・淡路大震災、東日本大震災についての文献、書籍、行政の報告書からの災害時の状況把握、課題抽出を行った。現地での管理栄養士や行政からの聞き取り調査は電話インタビュー行った。②の項目のビニール袋での保温調理における野菜・米・イモ類の栄養、抗酸化性、物性の分析、おいしさの評価においては、本年度は実験条件の確立を行うとともに、各調理法(連続加熱ビニール袋有/無、保温調理(毛布、鍋帽子、発砲スチール)で調理を行った野菜(ダイコン、キャベツ、コマツナ)の抗酸化性(DPPHラジカル補足活性、ORAC値)、アスコルビン酸量、総ポリフェノールの測定を行った。官能評価の予備調査を実施した。以上のことから、「おおむね順調である」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては引き続き①の項目についての調査の継続、②の項目においては引き続き、米、イモ類を用いて、ビニール袋保温調理を行い、物性の分析、おいしさについての官能評価を行う予定である。③においては、素材だけではなく②で測定した野菜やコメ、イモ類を組み合わせたメニューを考案していく予定である。
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Causes of Carryover |
新潟県、宮城県、福島県に赴き、災害支援での食事作りを担当した方々に訪問インタビューを行う予定であったが、先方とスケジュールが合わなかったことから本年度は電話インタビューのみで、訪問は次年度に延期した。またコロナマルチグレーティングマイクロプレートリーダSH-9000Lab ㈱日立ハイテクノロジーズ)を購入予定であったが、本体価格が直接経費の予算を超過したことから購入を断念し、不所持の凍結乾燥機と卓上遠心機を購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、引き続き分析を行うために分析機器および消耗品、食材購入に使用する。また、国内での学会発表の参加旅費および次々年度の実施予定内容である、リーフレットの作成、および調理講習会を実施するにあたって、教育方法の情報収集をするため、2016 Annual Conference Nutirition education andbehavior(サンディエゴ、アメリカ)への参加旅費に使用する。さらに災害時に食事作りを担当した方々に訪問インタビューを行うための新潟県、宮城県、福島県への旅費に使用する。
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