2015 Fiscal Year Research-status Report
含有フェノールの構造変化を利用した調理油の新規品質評価法
Project/Area Number |
15K00803
|
Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
増田 晃子 四国大学, 生活科学部, 准教授 (80631720)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 調理油 / 抗酸化性 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
なたね油、オリーブ油、えごま油など、市販されている調理用植物油を23種(のべ試料数として46種)入手した。主成分であるトリアシルグリセロールなどの脂質と、微量成分の油糧植物由来成分(主としてフェノール成分と考えられる)の分離を試みた。トリアシルグリセロールがほとんど溶解せず、より極性の高い成分が溶解するメタノールでフェノール類を抽出することを考えた。次の抗酸化活性スクリーニングに供するため、なるべく操作が単純となるよう、次の操作を行った。すなわち、調理用油(0.5mL)とメタノール(1.0mL)をマイクロチューブにとり、10秒攪拌後、遠心分離によりメタノール層(上層)と油層(下層)に分け、上層を別容器に移し採り抗酸化活性測定用試料溶液とした。 フェノールを含むと考えられる上記メタノール層について、抗酸化性の測定を行った。活性指標はDPPHラジカル試薬を用いたラジカル消去活性とした。測定には購入備品の吸光マイクロプレートリーダーを用い迅速に測定を進めた。5mMDPPH溶液6μLに対する上記活性測定試料液100μLのラジカル消去能測定したところ、18種が50%以上のラジカル消去活性を示し、その多くが80%以上の強い消去能であった。活性の低い油はアーモンド油、アボカド油、ココナッツ油、椿油、マカダミアナッツ油で、大きな種子から製造された調理油が多かった。複数入手できた調理油間での活性に大きな違いは認められなかった。90%以上の強い活性を示した試料液については、希釈液についてさらに活性測定し、調理油メタノール抽出液についての活性強度順を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画では、初年度に試料を入手し、抗酸化スクリーニングを実施することとしており、平成27年度はこの計画内容をおおむね実施することができているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後2年目の平成28年度は抗酸化性を示した調理油の極性(メタノール)抽出液に含まれる成分の分析をHPLCにて進める。メタノール抽出液の分析前処理を検討し、まずは逆相系でのフェノール分析を試みる。その後DPPH添加実験を行い、抗酸化性成分のピークを確認する。試料油加熱時の抗酸化性成分のピーク消失および新たなピーク出現を検出すること等により、油が酸化される際に抗酸化性成分が構造変化するものか検討し、油の酸化マーカーとなるか調べる。 3年目の平成29年度は調理油中の抗酸化性成分の構造解析を行い化学構造を決定する。また、抗酸化性成分が、仮定したように油の初期酸化状態で活性発現するものか、油の酸化測定とHPLCでの抗酸化性成分の存在量確認を並行して行い確かめることとする。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた旅費を科研費から支出せずまかなうことができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として使用する。HPLCの成分分析に使用するカラムは高価であり消耗品であるのでその購入に充てる計画である。
|