2016 Fiscal Year Research-status Report
含有フェノールの構造変化を利用した調理油の新規品質評価法
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15K00803
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
増田 晃子 四国大学, 生活科学部, 准教授 (80631720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 調理油 / 抗酸化性 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
分析条件を検討後、調理用植物油の全フェノール分析を行った。 分析用ODSカラムを装着したHPLC装置を用い、PDA検出器により280nm、320nmなど多波長でのピーク検出を行った。移動相のリン酸水とアセトニトリルの組成を変化させ、グラジエント分析を行い約1時間以内にトコフェロール類より高極性の成分を一斉分析することができた。HPLC前処理としてまず試料油のメタノール抽出を行ったが圧オーバーなどでHPLC分析が困難になることがあった。原因として少量の油がメタノール抽出液に混在してくることが考えられた。このためメタノール抽出の他、固相抽出によるヘキサンでの油分除去や水メタノールによる抽出法を検討した。 今年度はオリーブ油、サチャインチ油、ゴマ油、えごま油、チアシード油の分析を行い、オリーブ油、サチャインチ油、えごま油、チアシード油については続いて抗酸化性フェノールを見出す目的で、DPPHラジカル試薬の添加実験を行った。サチャインチ油ではトコフェロール類の他に今回の試料濃度では抗酸化性成分のピークがみられなかったが、オリーブ油、えごま油、チアシード油にはトコフェロール類とくらべ比較的高極性の抗酸化性成分が含まれていることが分かった。これら成分は油の劣化を抑制し、また劣化の指標となる可能性があると考えられた。成分の同定のため、保持時間で標品との比較をしたところ、オリーブ油の分析でみられた抗酸化性成分はオレウロペインとは異なり、またチアシード油の抗酸化性成分は、シソ科に多く含まれる抗酸化性フェノールのルテオリンやロスマリン酸とは異なるものであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度後半に試料油の加熱実験に着手する計画であったが、分析試料液への油の混在が原因と考えられるHPLC装置の不具合がたびたび発生し、全フェノール分析に予想以上に時間を要した。このことから抗酸化性成分のピーク検出までとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は調理用植物油の酸化マーカーとなりうる成分の検出を続ける。またこれらの成分が油の劣化時に抗酸化性を発揮し、消費されるものか油の加熱実験を行い検討する。加熱時に生成する油の過酸化物や酸化分解物の測定を同時に行い、油に含まれる高極性フェノール成分が劣化マーカーとなるか検討する。その後、これらマーカー成分の構造同定、構造決定を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費を科研費から支出せずまかなうことができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のHPLC前処理用ゲルや試薬類の物品費に使用する。
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