2016 Fiscal Year Research-status Report
生物処理による飲料水の硬度と硝酸塩濃度の低減化研究
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15K00804
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
小関 正道 東京家政大学, 家政学部, 教授 (60248987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 肇 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40413116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 藻類 / 生物浄化 / 水道水 / 硬度 / 硝酸性窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.硬度の高い浄水場原水の硬度の低減化について、室内の実験台に設置できる浄水場を模した小型装置による実験を行った。装置は前年度と同様、縦横高さの内法(mm)が320、233、128で小石を高さ60mm迄敷き詰め、井戸水を循環させ藻類を自然発生させた。実験方法は、井戸水に替えてエビアン水5.5Lを入れポンプで水を循環させ、(1)装置上面にLEDライトを置き常時点灯、(2)12時間点灯12時間暗所のサイクルの方法で、硬度とpHを測定した。その結果常時点灯の装置では、pHの上昇と硬度の低下が継続したが、点灯と暗所のサイクルの装置では、pHは点灯時は上昇、暗所時は変化なしまたはやや低下し、硬度は点灯時は低下、暗所時はやや低下または変化なしの結果であった。この結果から硬度の低下は主に光合成によるpHの上昇により生じていることが確認された。2.硝酸塩濃度の低下については硬度と同じ装置で実験したところ、低下傾向を示したものの硬度の減少と比べ効果が少なかった。しかし異なる装置による前年度の結果では硝酸塩濃度は大きく低下していたので、硬度の低下と比べ硝酸塩濃度を低下させるためには、藻類の量を増加させるか光量を強くする必要があるものと思われる。3.沖縄県摩文仁浄水場における野外実験では、実験室と同様の装置で屋外実験を行った。その結果、硬度も硝酸塩濃度も実験室内のLED照明下実験結果と比べ、大きな低下が認められた。このことから実験室内の実験で硝酸塩濃度の低下効果が少なかった理由は、藻類の量や光量が少なかったものと思われる。野外実験と実験室内実験との結果の相違を明らかにするために、次年度はさらなる実験を実施する必要がある。藻類の同定については分担者による次世代シークエンスによるメタゲノム解析の結果、珪藻類とアメーバがフローラの70%を占めており、いずれも一般的な環境に広く分布しているものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水道原水中の硬度、硝酸性窒素濃度を藻類の生物作用により低減化させるためには、光合成の力が大きく作用していることが実験から明らかになった。次年度はその効力を高める方法を検討することになるので、藻類の生育を活発にし光合成力を高める方法を検討すればよいことが分かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.硬度低減化および硝酸塩濃度低減化力の強い生物を調べるために、前年度は沖縄県摩文仁浄水場並びに近辺の地下水源や河川からサンプル水を採取した。本年度はこれらの水および実験室内のその他の実験水層内に生育している藻類について、次世代シークエンスによるメタゲノム解析を行い生物を同定する。 2.硬度および硝酸塩濃度低減の効率化を図るための条件を検討し、沖縄県摩文仁浄水場における実用化の方向性を検討する。
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Research Products
(2 results)