2016 Fiscal Year Research-status Report
革新的低温ストレスによる根菜類の美味しさファクターの制御
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15K00807
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Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
高橋 匡 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 弘前地域研究所, 主任研究員 (90512830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナガイモ / 低温ストレス / γ-アミノ酪酸 / グルタミン酸脱炭酸酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
市販ナガイモ(平成28年9月購入、青森県産)および青森県産業技術センター野菜研究所で試験栽培された秋堀ナガイモ(平成28年11月収穫、以下、試験栽培ナガイモ)を試料として低温ストレス負荷試験を行った。各試料を切片化して脱気包装後、5℃、1℃、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃環境下の各エタノール溶液に浸漬した状態で、市販ナガイモは最長2週間、試験栽培ナガイモは最長8週間保管した。保管終了後の試料を凍結乾燥した後、剥皮した可食部位を粉砕し、80%エタノール抽出画分についてアミノ酸分析を行った。その結果、前年度の結果と同様に-20℃を除いた-5℃から-15℃の試験区でγ-アミノ酪酸(ギャバ)の増加を確認し、特に-5℃から-10℃にかけてそのピークがみられた。また、ギャバの増加と並行してグルタミン酸の減少が確認されたことから、グルタミン酸の脱炭酸酵素反応によってギャバが増加したものと考えられた。一方、低温保管前の市販ナガイモに含まれるギャバは、試験栽培ナガイモの約2.3倍、同じくグルタミン酸は1.9倍ほど高かったことから、市販ナガイモでは、収穫後の低温貯蔵中にこれらの成分が増加していると考えられた。以上の結果から、ナガイモの品質を保持できる低温保管によりグルタミン酸を十分に増加させた後、-20℃に至らない氷点下温度帯(-5℃から-10℃)で保管することによって、ギャバを増加できる可能性が示された。 氷点下において酵素反応を促進させる方法を確立できれば、ナガイモのギャバ増加に限らず、様々な酵素利用分野へ応用できる画期的な技術として展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の目標としていた、「ナガイモを氷点下保管した際のギャバ増加の再現性」を確認することができた。また、ギャバの増加と並行してグルタミン酸の減少が確認されたことから、酵素反応が氷点下で進行している可能性が新たに示された。
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Strategy for Future Research Activity |
氷点下で保管したナガイモにおいて、酵素反応によると思われるギャバの増加を確認した。本来、酵素反応は至適温度を外れた低温域で抑制されるはずであるが、本研究を通じて、氷点下の温度帯でも酵素反応が促進する結果が示された。このことから平成29年度においては、氷点下での酵素反応挙動を確認するため、セルラーゼやペクチナーゼなどの市販酵素を用いて同様の試験を実施する。
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Research Products
(1 results)