2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on molecular mechanisms underlying the promotion of wound repair by vitamin E
Project/Area Number |
15K00816
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松浦 達也 鳥取大学, 医学部, 教授 (00199746)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ビタミンE / 創傷治癒 / 細胞極性 / 非抗酸化作用 / PI3キナーゼ / aPKC / エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンE同族体(トコフェロール(Toc),トコトリエノール(T3))の非抗酸化作用による創傷治癒促進効果を探るために,培養ヒトケラチノサイトであるHaCaT細胞を用いて,wound healing assayを行い,ビタミンE同族体(α-Tocおよびα-,γ-,δ-T3)の傷修復に対する効果を検討した.いずれのビタミンE同族体も傷修復を促進した.しかしながら、他の抗酸化物質(ビタミンC,N-アセチルシステイン)を処理しても創傷治癒促進効果は認められなかった.また、極性制御分子aPKC, Par-3がビタミンE同族体の創傷治癒促進効果に関与するかを調べた結果、ビタミンE同族体は極性制御分子aPKC, Par-3の傷に面した細胞膜への局在化を促進することが明らかとなった.aPKC阻害剤処理,aPKC, Par-3のノックダウンのいずれもビタミンE同族体の創傷治癒促進効果を有意に阻害した.この結果より,aPKC, Par-3がビタミンE同族体の創傷治癒促進効果に重要な役割を果たしていることが確認された.次に,aPKC,Par-3の細胞形質膜へのリクルートの上流シグナルを探索する目的で,aPKCのリン酸化に関わることが知られているPI3キナーゼ(PI3K)シグナルに対するビタミンE同族体(α-Toc, γ-T3, δ-T3)の作用について検討した.Aktのリン酸化を指標としてPI3Kの活性化を調べた結果,ビタミンE同族体は細胞の極性化に伴ってPI3Kシグナルの活性化を誘導することが明らかとなった.さらにPI3K/aPKCシグナルの上流シグナルの探索を行った.ビタミンE(特にT3)による創傷治癒促進効果はエストロゲン受容体(ER)の阻害剤であるタモキシフェン処理により有意に阻害された.また,T3の創傷治癒促進効果はERをノックダウンすることでキャンセルされた. 以上の結果より、ビタミンE(T3)はER/PI3K/aPKCシグナルを介して創傷治癒を促進する可能性が示唆された.
|