2016 Fiscal Year Research-status Report
β-コングリシニンのメタボリックシンドローム改善作用とその機序解明に関する研究
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15K00834
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
古場 一哲 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (30290638)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | β-コングリシニン / 抗肥満 / インスリン耐性試験 / 脂質代謝 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、β-コングリシニン(CON)摂取による抗肥満効果に関する動物実験を行った。肥満モデル動物として、5週齢の雄性Otsuka Long Evans Tokushima Fatty (OLETF)ラットを用いた。1週間の予備飼育を行ない3群に分けた。対照食としてカゼインを20%含むAIN-93G組成の純化食(CAS食)、CAS食のカゼインの半量を大豆タンパク質(SOY)またはCONで置き換えたSOY食またはCON食をそれぞれ13週間自由摂食させた。その間、3週間おきに空腹時血糖値を測定し、飼育12週目にインスリン耐性試験を行った。飼育期間終了後、ラットの脂肪組織重量は、CAS群に比べSOY群で有意な低値を示し、CON群ではさらに低い値を示し、CON摂取による抗肥満効果が観察された。肝臓トリグリセリド濃度に対してもCON摂取による同様の効果が認められた。これらの効果には、CON摂取による血漿アディポネクチン濃度の上昇の関与が考えられた。なお、アディポネクチンの血漿濃度上昇には、脂肪組織での遺伝子レベルの制御が関与していることも示唆された。飼育期間を通して空腹時血糖値に群間で違いはなかったものの、インスリン耐性試験の結果では、CAS群に比べ、CON摂取でインスリン投与に対する血糖値低下の応答がよく、CON摂取にはインスリン感受性を高く維持する作用があることも示唆され、CON摂取による抗肥満効果の一因と考えられた。また、本実験においてもCON摂取による肝臓の脂肪酸合成能低下が認められ、脂質濃度低下作用の一因と考えられた。現在それ以外の要因も含め、CONの作用機序に関する各組織の脂質代謝関連遺伝子の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは、3年間の研究期間で4項目の動物実験を計画しており、初年度(平成27年度)および次年度(平成28年度)の2年間で、当初の予定通り3項目の動物実験を行い、生体試料の分析が進行中である。特に問題なく結果を蓄積している。現在、3年目に実施する動物実験にとりかかっており、概ね予定通り研究は進行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の今年度はメタボリックシンドロームモデルラットを用いた動物実験に取り組む。予定通り、今年度中に分析を完了する予定である。
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Research Products
(2 results)