2015 Fiscal Year Research-status Report
サービス付き高齢者向け住宅入居者の栄養状態の実態把握と栄養支援効果の検討
Project/Area Number |
15K00839
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
細山田 洋子 淑徳大学, 看護栄養学部, 講師 (40581848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / サービス付き高齢者向け住宅 / 低栄養状態 / 食事 / 管理栄養士 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者に対する福祉政策は、施設から在宅へと重点が移っている。そのような背景を受け、サービス付き高齢者向け住宅は、平成23年に登録制度が創設され、「介護サービスが受けられる自宅以外の在宅」として、施設数を急速に伸ばした。しかし、制度が創設されて間もないこともあり、入居者の実態報告が少ない状況がある。また近年「入居者の約8割は要介護認定者」との報告もあることから、低栄養リスク者が少なからず存在することが予想されるものの、これまで入居者の栄養状態や食事提供状況の報告はなく、実態把握が急務である。以上をふまえ、本研究は、サービス付き高齢者向け住宅入居者の栄養状態と食事提供状況の実態を把握するとともに栄養支援を実施し、その効果の検討を行い、あり方を提案するものである。 平成27年度は、サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムによって公表されている関東地方を中心とした1,525施設の情報を収集しデータベース化した。特に、栄養や食事に関連する項目を中心として、設備情報、費用・サービスや管理面についての事項について整理した。さらにそのうちの1県215施設を対象に、当該研究において2年目以降実施予定の全国調査およびヒアリング調査の調査項目の検討を目的として、内容の詳細について量的および質的に分析を行い学会にて発表した。また、海外の先進事例の調査として、スウェーデンのカールスハムン市とナッキャ市の2つのコミューンを視察しヒアリングを行い動向を把握した。 サービス付き高齢者向け住宅は、管理栄養士の必置義務はなく、栄養や食事に関する支援ニーズに対して管理栄養士による直接的な支援はほとんど実施されていない状況にある。本研究は実践的研究であり、サービス付き高齢者向け住宅に入居している高齢者の低栄養状態の予防および改善とともに、わが国における在宅サービスの質の向上に寄与することを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初の予定通り「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」に公表されている施設情報を収集し、データベース化を行った。さらに、2年目以降に実施予定のアンケート調査およびヒアリング調査の調査項目の検討を目的として、1県215施設について量的及び質的に分析を行い、分析結果を学会にて発表した。分析内容は、栄養や食事に関連する項目を中心に、設備情報、費用、サービス提供内容や管理面に関する事項とした。海外の先進事例の調査では、スウェーデンのカールスハムン市とナッキャ市の2つのコミューンを視察し、行政担当者から最新の動向を得た。その他、各市の高齢者施設を視察してヒアリングと情報交換を行い、得られた情報や課題は今後のアンケート調査およびヒアリング調査項目の検討事項とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、①施設情報の収集とデータベース化、②公表情報の内容の分析と現状把握、③海外の先進事例の調査を行った。先進事例の調査では、建築、法律や社会福祉等の専門家との意見交換により、サービス付き高齢者向け住宅のサービスの質と「食べること」を支援するためのサービス内容との関連について課題が示された。本研究は実践的研究であり、サービス付き高齢者向け住宅に入居している高齢者の低栄養状態の予防および改善とともに、わが国における在宅サービスの質の向上に寄与することを目的としていることから、示された課題は、今後各専門家に協力を得ながら本研究にて検討を行っていくものとした。以上を含め、平成28年度に推進する研究内容は、公表情報から収集した施設を対象とし事例を抽出してヒアリング調査を実施することと、食事提供サービスと栄養ケアの実施状況についてアンケート調査を実施し栄養や食事に関する支援ニーズと課題を明らかとすることである。
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Causes of Carryover |
主な理由は、当初初年度に予定していたアンケート調査とヒアリング調査を2年目に変更したことによる。変更した理由は、アンケート調査とヒアリング項目の検討を目的とし、公開情報のデータベース化後に量的及び質的分析を実施してより詳細な現状把握と課題抽出を行ったことと、海外の先進事例の視察により新たな課題が示され、アンケート調査およびヒアリング調査の検討項目として追加したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1年目の結果をふまえ、本年度はアンケート調査とヒアリング調査を実施する。主な支出は、印刷代、通信費、ヒアリング調査のための交通費や謝礼等である。サービス付き高齢者向け住宅のサービスの質と「食べること」を支援するためのサービス内容との関連については法律や社会福祉の専門家の協力を得て検討する。検討に係る費用は、主に、会場費、交通費、謝礼等である。その他、当該研究者の所属変更に伴い研究環境に変化が生じたことから、データ分析に用いるパーソナルコンピューターと統計ソフト、通信機器の物品購入を行う。
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