2016 Fiscal Year Research-status Report
サービス付き高齢者向け住宅入居者の栄養状態の実態把握と栄養支援効果の検討
Project/Area Number |
15K00839
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
細山田 洋子 関東学院大学, 栄養学部, 准教授 (40581848)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高齢者 / サービス付き高齢者向け住宅 / 低栄養状態 / 食事 / 管理栄養士 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、サ高住の入居者に関し「入居者の約9割は要介護認定者、認知症自立度Ⅱ以上高齢者が約4割」であることが報告された。さらに、サ高住の住宅の整備等の在り方に関する検討会は、要介護高齢者が必要なサービスが選択できる状況にあるのかといった提供体制や、サービスの質の確保に関し課題を指摘している。 食事の提供については、サ高住の約97%が食事提供や入浴等の生活支援サービスを提供しているとの報告がなされているが、これまで詳細な報告はほとんどみられなかった。そこで、平成28年度は、サ高住の給食経営形態と食事サービス内容を明らかとすることを目的として一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会「サービス付き高齢者住宅情報提供システム」(平成27年11月16日現在)の公表データから情報を収集し、1526施設について集計を行った。項目のうち、記述式の質的データ解析は,SPSS Analytics for Surveys (IBM社)を用いて集計した。集計項目は、費用・サービス:サービス付き高齢者向け住宅において提供される高齢者生活支援サービスのうち、食事の提供場所、提供方法、食事の提供サービスの内容と備考である。さらに、平成29年度に実施するインタビュー調査の基礎資料とするために全国でもサ高住数が多いT県を対象として、食事を提供している205施設について詳細な分析を行った。本研究により食事の提供方法が多様であることが明らかとなったが、公表データからは、食事の提供内容を含め支援実態の把握が不十分である。今後は、高齢者が安心して住み続けられるサ高住の食事支援のあり方を検討するために、入居者の栄養状態の把握を含め、引き続き調査研究を行う必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、サ高住の給食経営形態と食事サービス内容を明らかとすることを目的として一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会「サービス付き高齢者住宅情報提供システム」の公表データから1526施設の情報を収集し集計を行った。項目のうち、記述式の質的データ解析は,SPSS Analytics for Surveys (IBM社)を用いて集計し、施設によって食支援の状況が多様であることが明らかとなった。これらの結果は、今後のインタビュー調査の基礎資料であるとともに、新たな研究課題の発見にも繋がったことからも概ね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
サービス付き高齢者向け住宅は、介護を必要としている高齢者単身者に焦点をあてて供給され、入居者の約9割が要介護認定者であることからも低栄養リスク者が少なからず存在することが予想され、介護保険施設と同様に、食事・栄養管理を含む給食経営管理を必要とする施設であることがわかる。これまで詳細な報告はほとんどみられない状況のなか、平成27年度と平成28年度の公表データより食事の提供方法が多様であることが明らかとなったものの公表データからのみでは、食事の提供内容を含め支援実態の把握が不十分である。今後は、高齢者が安心して住み続けられるサ高住の食事支援のあり方を検討するために、入居者の栄養状態の把握を含め、引き続き調査研究を行う必要がある。 そこで今後は、サービス付き高齢者住宅の食事・栄養管理を含む給食経営管理の状況と食事サービス内容について施設管理者と生活相談担当者に対し、インタビュー調査を実施し、「食べること」への支援の実態把握を行い、課題を明らかとするものである。なお、本研究に関しては、すでに所属大学の研究倫理委員会へ申請し、2017年4月14日付けで承認された。
|
Causes of Carryover |
食事に関する公表データの内容分析により、サービス付き高齢者住宅において、摂食嚥下困難者に対する調理形態の調整が課題であることが新たに抽出され、提供されている食事の物性測定を計画した。また、インタビュー調査の実施協力が得られたため、訪問調査による出張費や謝礼金の確保のために使用額の変更が生じたことが主な理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、サービス付き高齢者住宅の食事・栄養管理を含む給食経営管理の状況と食事サービス内容について施設管理者と生活相談担当者に対し、インタビュー調査を実施し、「食べること」への支援の実態把握を行い、課題を明らかとするものである。インタビュー内容は、質的分析を行うため、テキストマイニングが可能なソフトを購入する。さらに、施設ではない在宅で生活する高齢者の摂食嚥下困難者に対する食事提供について新たな課題が示されたことから、提供されている食事の物性測定を行い現状を明らかとする。なおインタビュー調査に関しては、すでに所属大学の研究倫理委員会へ申請し、2017年4月14日付けで承認された。
|