2015 Fiscal Year Research-status Report
腕時計型ストレス・カロリー計の開発―若年者、中高年者、高齢者への応用―
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15K00853
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤井 明香 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (00454330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杤久保 修 横浜市立大学, 医学研究科, 特任教授 名誉教授 (30046099)
高橋 勝美 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (30267637)
大野 政人 米子工業高等専門学校, 教養教育科, 准教授 (70464526)
藤川 哲也 横浜国立大学, 保健管理センター, 准教授 (80406264)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腕時計型 / 精神ストレス / 心拍 / 運動 / 消費エネルギー / カロリー / 携帯型 / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病や介護予防・改善のためには、個人の日常生活を客観的に把握し適切な休養や運動や栄養を摂ることが重要である。既存の携帯型簡易カロリー計は身体活動時の心拍変動をベースに消費カロリーが換算されるものが多いが、現代の日本人は安静活動が増えたため、精神活動時の消費カロリーもある程度の精度を有する装置を利用することが、実用的であると考えられる。本研究では精神活動時も対応させるために開発された腕時計型ストレスカロリー計の最適化を目指して、消費カロリー計のベースとなるライフステージ毎の換算式の係数の構築を行うことと、実際に当装置を利用する際の実用面での対応をはかることを目的とする。 本年度は大学生30名を対象として24時間当装置を装着し睡眠時基底心拍数を得た後に、特定活動を実施し、精密代謝機と対応させる検証実験において、心拍変動から導出する際の消費カロリーへの適切な換算係数(基底心拍数、精神活動係数、身体活動係数など)を得たためこれを学術論文にまとめ学術誌に採択された。さらに対象を中高年者へと広げ実験を継続してきた。実験結果より中高年の最適な係数は、若年者とは異なることが考えられ、次年度にさらなる検証を重ねる。 当装置を用いた応用法の検討では、学生と健常中高年者と生活習慣病患者の少数例(合計24名)の比較で、どの群も自己申告と測定値の誤差がみられ、また、患者では睡眠時無呼吸と思われる心拍変動の箇所が装置より観察されたためこれらを学会報告した。 さらに生活習慣病患者30名を対象に当装置と血漿アミノ酸分析結果を組み合わせて保健指導を3ヶ月間実施したところ、対象者の60%が生活習慣の意識改善に効果を示し、52%が1日に10回以上カロリーを確認し、2kg以上の体重減少や生化学的検査値の改善がみられた者は19名となった。これらの結果も学会に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中年者を対象とした腕時計型ストレスカロリー計の検証実験(睡眠時基底心拍数、精神活動時の消費カロリーの換算係数、身体活動時の換算係数を得る)は順調に進んでいる。 同内容の大学生を対象とした実験は完了し、論文が採択をされ、現在出版の準備をしている。高校生や高齢者を対象とした実験は次年度より実施する予定で計画を立てており、対象施設や団体の協力を得ることができたため、今後は個別の承諾を得てスケジュール調整を行う予定となっている。 装置を利用した応用研究については、第一調査である若年者、中高年者、生活習慣病の3者の少数例の比較において、自己申告と実測値の消費カロリーの差異や睡眠の質、睡眠時無呼吸の症例などを得たためこれらを学会報告した。また、第二調査である30名を対象とした保健指導における効果の検討も終了し、今年度に学会発表をおこなった。第三調査である生活習慣病患者約80名の生活習慣の詳細の評価についても終了したため、次年度の10月に学会発表を予定しており、現在は学会に電子申請および登録を終えた。 これらの状況を考慮して上記(2)の判断をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、中高年の消費カロリーの換算式の構築に関わる検証実験を上半期で完了させて秋期にはまとめたのち、29年度の学会発表を目指し28年度中に申請をおこなう。当検証実験の残りについては、被験者のリクルートは完了しており、実験実施日について現在具体的な調整をおこなっている。 高校生と高齢者を対象とした検証実験は下半期から具体的に実施し、29年度上半期で完了させる。高齢者の実験は研究分担者の協力のもと神奈川工科大学にて実施する。高校生の検証実験は研究分担者が中心になり米子を拠点として実施する。 当装置を利用した生活習慣病患者や産業衛生におけるストレス管理に関する実験は、平成28年秋期に学会発表を計画しているほか、引き続き実験の継続については研究分担者を中心に実施し、これらのデータの取りまとめに関しても、研究分担者の協力を得て構築式などの検討を行う。
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