2016 Fiscal Year Research-status Report
食後脂質代謝に対する希少糖プシコースの効果に関する研究
Project/Area Number |
15K00855
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
内藤 通孝 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (10198012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 雅明 香川大学, 医学部, 教授 (10163974)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プシコース / アルロース / 果糖 / 果糖ブドウ糖液糖 / ショ糖 / 食後高血糖 / 食後高脂血 / 希少糖含有シロップ |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の欧米化に伴い、日本人の脂肪摂取量は増加している。とくに食後脂質代謝の増悪・遅延、即ち、食後血中トリグリセライド(TG)値は、空腹時の値よりも動脈硬化性疾患の危険因子として重要であることが示されている。これまでの研究で、甘味料として広く用いられている果糖および果糖ブドウ糖液糖(HFS)が食後脂質代謝を著明に増悪・遅延させることを示した。一方、希少糖のD-プシコース(アルロース)は、糖代謝を改善し、糖尿病を予防する効果が期待されている。本研究は、果糖やHFSの、とくに若年者の健康に対する悪影響を防止するためにプシコースを活用することを目的とした。昨年度の研究では、食後脂質代謝に対するプシコースの影響を果糖およびショ糖と比較検討したが、脂肪と同時にプシコースを摂取した場合には、脂肪と同時に果糖を摂取した場合と同様に、食後リポ蛋白及び脂質代謝の遅延を引き起こす可能性が示唆された。一方、糖質代謝については、脂肪と同時にプシコースを摂取した場合には、脂肪のみを摂取した場合と比べて、血糖及びインスリン濃度に有意な影響はなく、果糖やショ糖に比べて明らかに優れていた。そこでH28年度は、一般に市販されている希少糖含有シロップ(RRS)を用いて検討を行った。健常若年女性を対象に、前日の夜から12時間以上絶食とし、①脂肪クリーム、②脂肪クリーム+RSS、③脂肪クリーム+HFS、④脂肪クリーム+ショ糖の4回の摂取試験を4週間ごとに無作為交差法で実施した。摂取前と0.5、1、2、4、6時間後に採血し、血液成分を分析した。結果として、②、③、④では、血糖とインスリンが有意に上昇したが、3群間で有意差はなかった。また、食後TGの上昇も3群間で有意差はなく、①に比べて有意に高値で遅延を示した。以上、HFSやショ糖と比べて、RSSには食後糖・脂質代謝に対する優位性は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、研究を遂行することができた。現在詳細な分析および検討を行っており、研究成果は希少糖研究会、日本動脈硬化学会等で発表し、論文としてまとめる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、実際に甘味料として用いられている果糖ブドウ糖液糖やショ糖と、新たに開発されて市販されている希少糖含有甘味料である希少糖含有シロップ(RSS)とを比較検討した。しかし、食後の糖代謝および脂質代謝に対して、RSSの優位性を見出すことはできなかった。そこで、最終年度となるH29年度には、少し軌道修正する必要が生じた。果糖の食後脂質代謝に対する害を、果糖をプシコース(アルロース)に置換することによって防止するという、これまでの発想を転換し、果糖の害を別の物質、とくに水溶性食物繊維によって予防できるか否かを検討する予定である。
|