2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00858
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
塚原 丘美 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (00387911)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低糖質食 / インスリン分泌 / GLP-1分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
極端な糖質制限を施行することによって、GLP-1及びインスリンの分泌能が低下することを明らかにするために、介入試験を行なった。本研究は毎年、被検者を変えて同じ介入研究を行う。今年度も予定通り、8名の被検者で介入試験を行なった。 健康な女子大学生8名(21.6±0.5歳、BMI 21.4±0.9 kg/m2)を被験者として、3ヶ月のオープン介入試験を行なった。介入の内容は糖質エネルギー比が30%程度になるように食事(間食含む)の糖質量を被験者ごとに設定した。介入試験前後に体組成測定と75g経口糖負荷試験(OGTT)を行ない、これらの結果を対応のあるt検定を用いて統計処理を行ない比較した。 3ヶ月間の低糖質食の実施によって、BMI及び体脂肪量に明らかな変化はなかった。OGTT前3日間の栄養摂取量は、エネルギーは介入後に減少したが有意ではなかった。たんぱく質と脂質は介入後に有意に増加し、糖質は介入後に有意に減少したことから、食生活の介入は予定どおり遂行されていた(糖質エネルギー比33.5%であった)。 糖負荷試験において、介入後の血糖値に明らかな差は認められなかったが、インスリン30分値は70.6±32.5 mU/Lから51.3±25.9 mU/Lと有意に低下し、インスリン初期分泌値は1.8±0.8から1.2±0.6と低下傾向を示した(p=0.062)。これに対してインスリン感受性を示す値は8.3±3.7から10.0±5.2と増加した。これは昨年度とほぼ同様の結果となった。GLP-1に明らかな差はみられなかった。 以上のことから、インスリン感受性が高くなったことで血糖値に明らかな差はみられなかったが、低糖質食によってインスリン分泌能は低下することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要なパラメーターであるインクレチン(GLP-1)は、測定方法の基準が詳細に指定されており、かつ安定した結果を得ることが困難であるために、その測定を臨床検査センターに委託している。被験者登録の希望者は予想外に多く、また来年度は確保できる保証がないので、この機会にできるだけ多くの被験者で介入試験を行うことにした。昨年度と同程度の8名を被検者とした。その結果、今年度も前倒金を申請することになってしまった。 3ヶ月間の食事に関する介入は容易ではないが、食事摂取量より算出した糖質摂取量はエネルギー比33.5%と設定どおりであり、かつ、たんぱく質と脂質の摂取量は有意に増加するなど、介入は予定どおり遂行されていた。 今年度はGLP-1分泌の変化は認められなかったが、インスリン分泌は昨年と同様の結果を得ており、ほぼ仮説どおりの結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度および昨年度と同じ要領で研究を行う。これまで不都合は生じていないので、今年度も順当に遂行されると思われる。すなわち、9月から12月の3ヶ月間で低糖質食の介入試験を行う。これまでに15名の被験者で介入試験を行なったが、今年度の予算から被験者は5名を予定している。3年間で目標の20名を達成できる予定である。 平成29年度で予定の3年が終了し、ほぼ仮説通りの結果が得られると予想される。この結果を日本糖尿病学会で口頭発表を行ない、国際誌に論文投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)