2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00859
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義澤 克彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (70548396)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カンタキサンチン / アスタキサンチン / 試験摂取 / ヒト乳癌細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性キサントフィル混合特殊飼料の作成とラットに対する試験摂取の評価 教室が所有する海洋性キサントフィル(カンタキサンチン・アスタキサンチン)を用い、基礎食(AIN-76A)に混飼した4種(低・高濃度カンタキサンチン食、低・高濃度アスタキサンチン食)の特殊飼料を少量作成した。なお、過去の報告を参考にし、海洋性キサントフィルの混合率は低濃度で0.04%/kg、高濃度で0.4%と設定した。3週齢雌Sprague-Dawleyラット25匹を5群(基礎食群、低・高濃度カンタキサンチン・アスタキサンチン食群)に分け、基礎食および試験食を摂取させ、試験食の嗜好性および急性毒性の有無について評価を行った。各群のラットの1日あたりの平均摂餌量は基礎食群が11.7±0.4gであったのに対し、カンタキサンチン食群がそれぞれ11.0±0.8・11.0±0.7g、アスタキサンチン食群は12.1±0.3・12.5±0.2gであり、各群の摂餌量に差をみなかった。試験食摂取後の各群のラットの体重は基礎食群が187.8±0.4gであったのに対し、カンタキサンチン食群がそれぞれ192.5±1.7・188.1±2.1g、アスタキサンチン食群は191.5±1.5、194±2.0gであり、各試験食摂取後の体重も基礎食群と差をみなかった。試験食摂取期間中に中毒症状をあらわしたラットも認められなかったことから、上記の混餌濃度を用いて発癌実験を行うことが可能と判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は多くの動物を用いた本試験を開始するにあたり、海洋性キサントフィルを混じた混合食を試験的に少量作成した上で、嗜好性・毒性の有無を観察する予備試験を行う必要があった。また、ラット発癌試験に用いる合計5週間分の餌に混じる大量のキサントフィル(カンタキサンチン・アスタキサンチン)の調達およびそれらを用いた混合餌量の作成に時間を要したため、予定していた発癌試験の開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 海洋性キサントフィル摂取によるMNU誘発ラット乳癌に対する発癌抑制効果の検証 3週齢雌S-Dラットに対し、基礎職群(AIN76-A)、低・高濃度カンタキサンチン食群、低・高濃度アスタキサンチン群の5群(各群19匹ずつ)に分け、キサントフィル食群のラットには基礎食に0.04%あるいは0.4%のカンタキサンチン・アスタキサンチンを混合した特殊飼料を3週齢から7週齢までの5週間、給餌する。6週齢時60mg/kg MNUを単回腹腔内投与することにより、乳腺発癌を促す。1週ごとに全てのラットの体重を計測することにより全身状態を観察するとともに、MNU投与後は触診により乳腺腫瘍の発生率を評価する。20週齢(MNU投与後14週)で実験終了とし、すべてのラットの乳腺脂肪織および発生した乳腺腫瘍を採取し、組織学的に同定されるラット乳癌の発生率を評価することにより、海洋性キサントフィル経口摂取による乳癌予防効果を実証する。 2) 海洋性キサントフィルによる乳腺発癌抑制機序の解明 8週齢時(試験開始5週後)に上記5群の内4匹ずつを屠殺し、心臓穿刺により血清を採取することにより、血清中のカンタキサンチン・アスタキサンチンの濃度を測定する。いわゆる善玉アディポサイトカインとされるアディポネクチンはMAPキナーゼカスケードを介して細胞の癌化や悪性細胞の増殖を抑制する作用を有する。8週齢時に屠殺したラットの腹部~会陰部の乳腺脂肪織を摘出し、湿重量を測定した後にタンパクを抽出する。アディポネクチン・レプチンの特異抗体を用いたWestern-blottingを行い、各群で発現強度を比較する。乳腺脂肪織局所におけるアディポサイトカインの発現変動を評価することにより、カンタキサンチン・アスタキサンチンによる乳腺発癌抑制機序を解明する。
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Causes of Carryover |
本課題の達成度の項に記載した如く、課題1年目で予定していたラットの発癌試験の遂行を課題2年目に変更したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は今後の研究方策で述べたMNU誘発ラット乳腺発癌試験に用いる2種のキサントフィル(カンタキサンチン・アスタキサンチン)の購入とともに、分子病理学的評価に使用する各種の特異抗体や消耗品の購入に使用する予定である。
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