2016 Fiscal Year Research-status Report
糖・脂質代謝異常症の危険因子に対するポリフェノールの作用機序解明と予防への応用
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15K00865
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
徳冨 芳子 尚絅大学, 生活科学部, 教授 (90253723)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機能性食品成分 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレス関連分子をはじめとする代謝異常症のリスク因子の制御に有効な機能性食品成分の探索を行う目的で、今年度は、カルノシン酸、ロスマリン酸、p-クマル酸、エンテロジオール等のポリフェノールの血管収縮・弛緩に対する効果を調べた。 マウス大動脈を用いて収縮張力に対する効果を調べた結果、カルノシン酸、ロスマリン酸、p-クマル酸、エンテロジオールによる大動脈弛緩作用は血管内皮細胞由来のNOを介することが、NO合成酵素阻害剤や内皮除去の影響から明らかになった。また、カルノシン酸による弛緩効果には、電位依存性カリウムチャネルの部分的な関与も示唆された。 さらに、アセチルコリンの弛緩を増強するポリフェノールの効果には、NO産生系以外の機序が関与することが示唆された。そこで、各種カリウムチャネル遮断薬を用いて検討した結果、カルシウム活性化カリウムチャネル、電位依存性カリウムチャネルの関与も示唆された。 血管内皮細胞でのNO産生系活性化や、カリウムチャネル開口による弛緩効果を持つこれらのポリフェノールが、糖・脂質代謝異常症に伴う血管内皮機能障害を起こりにくくするために有用であるかどうか、さらに詳細な検討を進める予定である。 これらの結果をまとめ、第90回 日本薬理学会年会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第90回 日本薬理学会年会にて発表するとともに、本申請研究に関する情報収集も行い、糖・脂質代謝異常症に対する機能性食品成分の効果に関する研究を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの結果をふまえ、さらに詳細な機能性食品成分の効果及びそのメカニズムの解明を進めることで、糖・脂質代謝異常症の発症・進行の予防に有効な成分の探索に向けた検討へと進めることができる。
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Causes of Carryover |
見積もり予定価格の引き下げにより、未使用額が発生した。また、実験に必要な試薬等として、今年度以前に購入したものの残量から使用したため、未使用額が発生した。さらに、平成28年4月に発生した熊本地震の影響で、研究計画を一部変更したため、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施する実験に必要な試薬、器具、データ解析用事務用品等の購入に使用する予定である。
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