2015 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化食品成分による内臓脂肪組織の慢性炎症抑制機構の解明
Project/Area Number |
15K00867
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小堀 真珠子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門・食品健康機能研究領域, ユニット長 (50353941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | β-クリプトキサンチン / ケルセチン / 内臓脂肪組織 / 慢性炎症 / 肥満 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満の内臓脂肪組織における免疫細胞の増加や活性化は、慢性炎症やインスリン抵抗性を引き起こしてメタボリックシンドロームを発症させる。肥満の脂肪組織ではまず、抗原提示に関わるクラスⅡ主要組織適合遺伝子複合体(MHC-Ⅱ)の発現が誘導されることが報告されている。これまでの研究でケルセチンが食餌性肥満において内臓脂肪組織の慢性炎症を抑制すること、及びβ-クリプトキサンチンが非アルコール性脂肪肝炎において特に炎症を改善することが明らかになったことから、3T3-L1脂肪細胞にケルセチン及びβ-クリプトキサンチンを添加して、これらの成分がIFNγで誘導されるMHC-Ⅱの発現に及ぼす影響を検討した。その結果、β-クリプトキサンチンにのみ、弱いMHC-Ⅱの発現抑制作用が認められ、慢性炎症のメカニズムとして、IFNγの脂肪細胞に対する作用への抑制効果は低いと考えられた。また、ケルセチンが食餌性肥満モデルマウスの内臓脂肪組織に及ぼす影響を検討し、炎症性サイトカイン等の産生に関わる転写因子NF-kBの発現を抑制すること等を明らかにした。ケルセチンは酸化ストレスに感受性の高いNF-kBの誘導を抑制して、 慢性炎症やインスリン耐性に関わるTNFαの発現を抑制すると考えられる。更に高脂肪・高ショ糖・高コレステロール食である西洋型食に0.01%のβ-クリプトキサンチンを添加してC57BL/6Jマウスに摂取させ、β-クリプトキサンチンが食餌性肥満モデルマウスの脂肪組織に及ぼす影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度においてβ-クリプトキサンチンが食餌性肥満モデルマウスの内臓脂肪組織に及ぼす影響の検討を開始する予定であったが、β-クリプトキサンチンの入手が遅れ、摂取期間が終了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
摂取期間が終了次第、β-クリプトキサンチンが脂肪組織に及ぼす影響を検討する。β-クリプトキサンチンの肥満抑制作用はケルセチンより弱いことから、脂肪蓄積と関連の深い内臓脂肪組織の慢性炎症の抑制効果は低いことも考えられるが、ケルセチンの作用と比較すること等により、その特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
動物実験の開始が遅れたため、かかる費用を次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続してマウスにβークリプトキサンチンを摂取させ、内臓脂肪組織の慢性炎症抑制に関わる作用を解析する。
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