2018 Fiscal Year Research-status Report
災害時における食・栄養の支援システム構築に関する研究
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15K00868
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
笠岡 宜代 (坪山宜代) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (70321891)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災の被災地での食・栄養に関連する問題を解析し、その教訓と課題を平時からどのように解決できるか検討すること、災害時に被災地に派遣され支援活動を行う災害支援者を対象とした調査を行い多職種の視点からみた被災地での食・栄養問題を抽出することを目的としている。本年度は避難所の食事を改善する新たな要因として、これまでに明らかにしてきた提供した食品や食材レベルの改善だけでなく、実際のエネルギーや栄養素の提供レベルまで改善できるか否かを中心に新たな要因の探索を行った。 宮城県内の避難所216か所を対象とした、「避難所食事状況・栄養関連ニーズ調査(調査主体:宮城県保健福祉部)」の結果を二次利用し、被災から約二か月、三カ月後の食事内容や食事回数、弁当の提供状況、炊き出しの提供状況と実際に提供された食事のエネルギーおよび栄養素量等について解析を行った。 その結果、避難所での弁当の提供の有用性について明らかになった。弁当を提供した避難所では、エネルギーおよびたんぱく質の提供量が多く、厚生労働省が発出している災害時の栄養基準である「避難所での栄養の参照量」を上回った。しかし、弁当の提供はビタミンB1およびビタミンCの提供量が少なく、栄養改善に限界があることが分かった。災害時には弁当に移行するだけでなく、栄養バランス等も考慮して、その他の方法の食事提供と組み合わせることが必要であることが示唆され、これらについて行政が作成するガイドライン等に組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H30年度は災害時に支援活動を行う様々な職種を対象とした調査を実施する予定であったが、H30年度は自然災害が多発し(大阪地震、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、北海道胆振東部地震等)、調査対象者として予定していた災害支援者は殆どの期間を被災地派遣、被災地対応をしていたことから、調査に協力をお願いすることが出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き、東日本大震災の食・栄養環境に関する調査を分析し、東日本大震災の被災地での食・栄養問題の実態および影響要因、実際に派遣された 管理栄養士・栄養士による支援活動内容の実態および支援体制の影響等を解析する。 また、平成30年度に新たに発生した自然災害として平成30年7月豪雨(西日本豪雨)等についても解析する さらに、災害時に支援活動を行う様々な職種を対象とした調査を実施することで、様々な視点からの被災地での食・栄養問題を抽出する。
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Causes of Carryover |
(理由)平成30年度は自然災害の多発により、研究代表者が被災地派遣、被災地への後方支援に忙殺されたため、学術論文の執筆が前年度と比べ少なく、投稿等にかかる費用が少なくなった。また、H30年度は災害時に支援活動を行う様々な職種を対象とした調査を実施する予定であったが、H30年度は自然災害が多発し、予定していた調査対象者である災害支援者は殆どの期間被災地派遣、被災地対応をしており、調査を行うことが出来なかったため、調査に関わる費用を次年度の持ち越すことになったため。
(使用計画)次年度は、災害時に支援活動を行う様々な職種を対象とした調査を実施する予定であるため、調査費用、オンラインサーベイフォーム作成、データ入力等にも使用を予定している。
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