2017 Fiscal Year Research-status Report
食嗜好性の獲得と変化における化学感覚とくに味覚感受性の役割に関する解析的研究
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15K00900
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
上地 加容子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (50390208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峰松 祐至 畿央大学, 健康科学部, 特任助教 (30712096) [Withdrawn]
山本 隆 畿央大学, 健康科学部, 教授 (60028793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Flavor / Learning / Preference / Infancy |
Outline of Annual Research Achievements |
食べ物の好き嫌いや偏食がなく、多様な食べ物に対して高い嗜好性を持ち、美味しく食べることは、健康を実現するための食生活の基盤である。本研究では、食嗜好性の獲得とその変化に関わる要因、特に味覚感受性の重要性と食嗜好との関連性を明らかにすることを目的として研究を進めている。 1)味覚感受性の測定に関する研究 幼児から高齢者までの幅広い年齢層を対象として同一の方法で味覚感受性を測定するために、簡便かつ正確に5基本味に対する閾値(検知閾、認知閾)を測定する方法をすでに開発し、「畿央大学式味覚テスト」として実用化している。また、「畿央大学式味覚テスト」の替わる新しい味覚テスト法として、運搬しやすく、保存性に優れ、簡便な、溶液を使わない味覚テスト改良版を開発することも目的とし、現在研究を進めている。 2)幼少期の嗜好学習獲得とその保持に関する研究 離乳直後のラットが低濃度のスクロース溶液に嗜好学習を獲得し、高濃度のスクロース溶液に嫌悪学習を獲得したことを既に論文で発表した。うま味の実験では、幼若ラットはいずれのうま味に対しても嗜好性を示すが、フレーバー嗜好学習はうま味の混合溶液と連合した香りについてのみ獲得することが示された.この結果から グルタミン酸とイノシン酸の両者を組み合わせることで生じるうま味の相乗効果が学習に効果的であったと推索される.また、この学習効果は成熟期においても記憶していたことから、相乗効果によるうま味の快感は、そのとき連合された香りを成熟後も嗜好させるほど強いものであることが示唆された.先行研究では、うま味の相乗効果は消化管受容体では生じないとされており、カニューレを用いて胃に直接うま味混合溶液を注入する方法では学習を獲得しなかったことから、幼若期におけるうま味による学習獲得には、摂取後の効果よりも口腔内の刺激が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
嗜好学習の獲得とその保持に関する研究は、うま味、甘味を用いて研究を進めているが、概ね順調である。 これまで味覚感受性の測定のために、改良型味覚テスト法の開発を行ってきた。改良型味覚テスト法は、現在口どけ等に問題があり、現在引き続き、改良を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
嗜好学習の獲得とその保持に関する研究は、種々の甘味溶液で学習を獲得した幼若ラットを成長させ、成熟期に再度テストを実施し、学習を保持しているのか否かを検討する予定である。糖の種類により学習の獲得に違いが認められた原因も検討する予定である。現在までの研究の成果を第72回日本栄養・食糧学会大会で発表予定である。 改良型味覚テスト法は、現在口どけ等に問題があり、現在引き続き、改良を行う。改良が終了次第、被験者を対象に実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
畿央式味覚測定法で使用する機器の消耗品等の支出が予定より少なくなった。また、都合により研究補助員の雇い入れができなかったため、残金が出た。今後は、実験の補助員を雇入れ、改良型畿央式味覚測定法の完成を目指す。改良型畿央式味覚測定法の実験に伴う被験者の謝金を支出予定である。動物を用いた嗜好性獲得の実験では、ラットや試薬等の購入、その研究成果を発表するための諸費を支出する予定である。
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Research Products
(5 results)