2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマノイドをインタフェースとする領域横断的科学学習システムの開発
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15K00912
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松浦 執 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70238955)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューマノイド・ロボット / e-Learning / Topic Maps / オントロジー / 対話構造 / 対話生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアバター-エージェント方式により、学習者が、学習システムや教授者との対話関係を持つ形式のe-Learningシステムの開発を背景としている。本研究の目的は、この学習システムのインタフェースとしてヒューマノイド・ロボットを導入し、ヒューマノイドをパートナーとした学習、授業形態を開発することにある。 当該年度は教授者とヒューマノイドとの対話を授業等に導入する方法の検討を行った。学生を対象として行った意識調査から、学びの過程で、音声情報である長時間のモノローグに集中を維持することへの困難が指摘された。人が知識を尋ね、ヒューマノイドが解答する基本形は、情報は得られてもインスピレーションへの刺激が不足する。そこで演芸等のシナリオに見られる基本構造を検討して、ヒューマノイドとの対話生成を試みた。これに学習システムの情報リソースを活用するために、単純なオントロジーを設計し、トピックマップ遠隔接続プロトコルによってヒューマノイドの発話生成を試みた。対話の形式としては、漫才におけるフリ・ボケ・ツッコミの流れ、映画等のシナリオでの導入・展開・結末の流れによるおもしろさや意外性を印象に残す構造を総合し、惹起・核・フィードバックの対話フレームを構築してオントロジーを設定した。また新規の知識の認知にあたり、既有概念にマッピングして理解のバリアを下げるため比喩的表現を用いる場合がある。謎かけは、この比喩の構造を活用して印象づける手法である。オントロジーを用いて学習システムから謎かけ対話構造を生成する方法を試作した。さらに、主題の階層や関連構造を利用して、発想をリフレッシュする連想の対話実装を行った。これらはヒューマノイドと人間が連携することで可能になるもので、聞き手の興味や注意を高める作用のある対話フレームとしての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロボット実機の故障、不具合などが生じており実験が遅れている。また特に対話構造の検討および実装は当初発想がなかったもので、興味ある展開と考えるが、当初の計画とは変更が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
対話フレームの研究として、主題を浮き彫りにして収斂する手法が伝統芸能の対話の形に見出されることがわかった。能などでの対話に見られるが、この源流は祝言から演劇的構造が分化したときに求めることができるだろう。主役と脇役がはじめ対立的または呼応的対話からはじめて、主題の中核に至ると短く端的な言葉で両方が協調的に掛け合うものである。主題へと集中を高める対話である。これはオントロジーで表現することが難しい。しかし人に作用するダイアログとモノローグの融合形式のように見られるもので非常に興味深い。主題内に主題を表現するキーワードを用いた局所トピックマップを作成することによりプロトタイプを作成する。これらの対話実装を行いつつ実際の授業での試行を行い、学習システムのインタフェースとして対話の形の心理的効果について、意識調査を通じて明らかにする。
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Remarks |
本研究成果に基づくオンライン学習システムのURLは http://tm.u-gakugei.ac.jp/epw/
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Research Products
(5 results)