2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00919
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉田 信也 奈良女子大学, 全学共通, 教授 (30740120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女子 / 物理 / 数学 / シミュレーション / GeoGebra / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,アンケート「教科に関する意識調査」を実施した。その概要は次の通りである。2016年6月に,国立A大学附属中等教育学校(学校規模 後期課程:各学年3クラス,計360名),奈良県立B高等学校(学校規模 1年9クラス,2・3年10クラス,計1,160名),奈良県内私立C高等学校(学校規模 1年2コース,2・3年3コース,計480名)の3校の協力を得て実施した。3校ともに高1・高2・高3の各学年からクラスを抽出し,3校合わせて女子585名,男子548名,合計1133名の回答を得た。 この調査結果から,従来からの「定説」である,数学・物理は男子に比べて女子に「人気」がないことが確認できた。その上で,女子生徒と男子生徒のイメージと学びたい内容の違いは何かを,その教科に「情緒」を感じるかどうかを1つの視点として考察したところ,男女に差が見られた。例えば,数学や理科が嫌いな生徒のうち,数学や理科を情緒的であると感じる生徒の割合は男子の方が多い傾向がある。また,女子生徒を物理の学びに導く可能性のある内容の一端(化粧品,衣類,食事や食物など)が明らかになってきた。これらの点から物理・数学の学習内容を考え,教材やテキストを作成することで,女子の理数系への進路が更に広がることが予想できた。 以上の結果を参考に,「女子生徒を意識した物理のアプローチ」をテーマに,附属中等教育学校の総合学習「コロキウム」において講座「つながる科学」が実践された。この実践を基に,女子生徒が興味を持って学習できる物理の教材開発や指導方法の研究を行った。 さらに,iPad上でフリーウェアGeoGebraを活用する数学の授業実践を行った。内容は,二次関数(探究活動に利用),三角比(探究活動に利用),二次曲線(例示・説明に利用)であり,生徒にも好評であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アンケート「教科に関する意識調査」により,研究のための基礎データを得ることができた。その際,キーワードの1つとして「情緒」を取り上げたことで,今後の展開のために参考となる視点とデータが得られた。 また,附属中等教育学校の教員と連携・協力して,物理と数学のICTも活用した授業を作り上げることができ,今後の女子生徒が興味・関心を持つようなテキスト・副読本を作成する上での重要な示唆を得ることができた。 以上の事柄を学会やシンポジウムで発表するとともに,中間報告書としてまとめることもできたので,当初の計画以上に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
第1年次の「ICTを活用した数物教育の研究」による,教材やシミュレーションソフトを深化させ,第2年次のアンケート調査結果と女子生徒が興味・関心を持つ授業の開発を基にして,テキスト副読本の作成に向けて整理し,まとめていく。
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Causes of Carryover |
中間報告書の印刷費用が,予定より少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究用図書の購入に使用する。
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