2016 Fiscal Year Research-status Report
単科大学アライアンス型による文理融合型設計教育の実現
Project/Area Number |
15K00927
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
見崎 大悟 工学院大学, 工学部, 准教授 (00361832)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 学際教育 / 学際研究 / デザイン思考 / イノベーション / 設計教育 / スタンフォード大学 / シリコンバレー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 1年目の研究先であるスタンフォード大学から帰国をして,本学を拠点として文理融合型の設計教育の基盤の考えとなる人間中心設計やデザイン思考などをベースにして,本学での設計教育の講義や研究協力機関でのワークショップを実施し,デザイン思考や分野融合の有効性について評価するための手法について検討をおこなった. シリコンバレーの中心に位置しイノベーションの創出を得意とするスタンフォード大学の学際教育・研究の基盤は,d.schoolモデルともよばれ,まずはd.schoolにおいてデザイン思考の基礎となる1.Empathy,2.Define,3.Ideate,4.Prototype,5.Test のデザインプロセスや,他の専門をもった学生や外部企業のメンバーとプロジェクトを一緒にすることで分野融合の基礎を学び,最終的には,自分の専門をベースとして,学際的な視点を得てイノベーションをおこすことができるような人材を育成している.しかしながら,一般的な日本の大学においては,そのような教育をおこなっていることが少ないため,まずは,分野融合をおこなう前に,デザイン思考の基礎を学ぶための2つのカリキュラムを提案し,数時間でデザイン思考の全体像を学ぶ短時間のコースと,半期15回でデザイン思考の各プロセスおよび複数回のデザイン思考の実践を学ぶコースを実践し,それらのコースに関して評価をおこなった. コース設計にあたっては,スタンフォード大学やデザインコンサルティング会社IDEOなどの事例を参考にして,より効果的な文理融合教育を実施しやすいような,環境を整備し,ワークショップなどで活用した. また,文理融合プロジェクトとして数ヶ月おこなったプロジェクトのインタビュー調査をおこない,分野融合をおこなった時のメリット,デメリットおよび課題を明らかにした.それらの結果については,現在教育関連の論文誌に投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スタンフォード大学のLarry Leifer教授のグループが研究・提案する,設計プロセスを評価する手法に基づき,日本国内の大学だけでなく,高校生や企業の活動などについても調査・評価をおこなった. その結果から,失敗を恐れる文化や,縦割り方式やトップダウン形式の組織運営がおこなわれやすい日本型組織においては,分野融合がなじまない場合も多くあり,このような環境下で分野融合どのように推進すればよいのか検討・提案をおこなった.また,研究のテーマである単科大学における分野融合については,国内の東工大の事例や海外のAlto University やOlin Collegeの事例を調査をおこない,平成29年度は現地調査を実施していく予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に明らかになった分野融合教育における課題に基づき,それらの課題を解決する手法について検討をおこなっていく.また,企業などでの設計プロセスにおいても,同様の分野横断型プロジェクトの社内教育などの支援をおこなうことで,多分野融合型のイノベーションのための設計プロセス改革の重要性について明らかにしていく. また,スタンフォード大学Center for design researchの研究者と連携をすることで,イノベーション教育や工学教育の視点で,グローバルスタンダードな教育プログラムを提案することを目的とする.
|
Causes of Carryover |
1年目にスタンフォード大学で研究する機会を得ることができたため,国外の事例調査や研究者との打ち合わせは,スタンフォード大学において実施することができたため,旅費に関する支出が少なかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際連携で研究をおこなうために,スタンフォード大学での研究打ち合わせおよび,単科大を背景として分野融合を実施する2つの大学での調査にもちいる.
|
Research Products
(3 results)