2015 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク利用による簡易型バスケットボール支援システムの利便性向上
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15K00940
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 公男 仙台高等専門学校, 情報ネットワーク工学科, 教授 (00125767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バスケットボール試合データの入力解析 / 簡易データ管理システム / 無線ネットワーク利用による負荷分散 / 課外活動の活性化 / 学生のシステム開発技術力の育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バスケットボールの試合データの収集の効率化と解析の多様化・迅速化を目的に,タブレットPC等での利用に適した簡易なバスケットボールデータ管理システムBM(Basketball data Management system)の開発を行っている。BMの機能自体は実用レベルまで達しているものの,1台のPCでの使用に制限されているため,試合データを複数台のPCから入力できるように無線ネットワークで接続し,入力者の負担を軽減するなどの工夫が課題として残っていた。 そこで,平成27年度は,システム開発言語を従来のJavaからC#に完全移行し,より利便性に富んだシステムを目指すこととし,当初からの主要な研究計画である複数のBM間のネットワークを構築し,ユーザが試合データとその解析結果を同時に閲覧できる機能を開発してきた。この機能によって,試合データの種類に応じて入力者を分担できるほか,コーチやマネージャー以外のユーザも試合データとその解析結果を共有し,閲覧できるようになった。 BMは体育館内での利用が基本となるために,モバイルルータを介した接続が前提となる。館内でネットワークを容易に確立でき,PC間での試合データの送受信を確実に実行するするため,通信プロトコルとしてTCP,通信方式としてクライアント・サーバ方式を採用した。現段階では,複数台のPCによるBM間1対多通信のプロトタイプが実現できている。各BMでTCPサーバ,TCPクライアントモードを立ち上げ,その後,サーバ画面にある開始ボタンを押し,受信待ち状態とした後,クライアント画面にサーバ役となるPCと同じIPアドレスとポート番号を入力することにより通信が確立し,試合データやコメントが送信可能となる。また,パスワードの設定も可能であり,プライベートネットワークのセキュリティと併せて不正なアクセスを防止している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のBMは,前述したように,開発言語を申請以前のJavaからC#に完全移行して再構築している。それにともない,C#版システムとしての機能性や信頼性等の評価・改善のために時間を要しており,当初からの主要目的であるネットワークを用いた利便性向上も含めて「やや遅れている」のが現状である。 開発言語の変更の理由は,従来のJava版BMは,試合データの基本的な解析機能の実装のみを目的としていたため,より多機能化を図るための拡張性が不足していたことが挙げられる。そこで,C#に変更することによって,統合開発環境として,利便性に富んだMicrosoft Visual Studioが利用でき,その高機能なGUIデザイナによって,ネットワーク通信機能の実装も含めて,BMで用いられるGUIを高品質かつ低コストで実現できるようになった。 現在は,試合データの入力や解析,ネットワーク通信などのBMの基本的な機能は概ね実現できており,プロトタイプとしての動作は可能な状態になっている。しかし,バグ,動作不良,未実装部などの細かな問題点も散見されるため,特に信頼性の観点からシステムの開発を継続しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の成果を踏まえながら,今後は,C#版の優位性を最大限に活かしながら,BMの主要機能の開発・調整と並行して,BMをより利用しやすくするために,未実装部の開発,バグの除去,ソースコードのリファクタリング,入力画面や解析結果の表示画面のデザインの調整などを優先的課題として,BMの開発を推進する。特に,本研究課題の最大の目的であるネットワーク機能に関しては,現状ではクライアントとサーバ間で通信を確立する際にはIPアドレスやポート番号の入力が必要となっているが,BMのユーザにとって,より手軽に操作が可能なような方法について検討する。 その後,有用性(試合データの複数のユーザによるリアルタイムでの有効利用,新規拡張機能の妥当性の検証),利便性(容易で確実なネットワークの確立,簡便なデータ及びコメント入力),拡張性(無線ルータからインターネット経由での試合データのサーバへの転送,Web サイト上での情報提供)などの観点から,構築したネットワークシステムとBM の拡張機能について,総合的かつ実践的な評価と改善を行う。また,地域貢献と普及活動の観点から,講習会や公開講座などを含むBM 研究会を開催する。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」でも述べたように,統合開発環境の利便性の向上と開発システムの更なる機能化を図るために,開発言語を従来のJavaからC#に移行したことによって,平成27年度は「システムの再構築」が研究の主体となった。現段階ではプロトタイプとして機能するものの,それを外部に情報発信し,実際に利用・評価してもらうためには,開発者自身による機能性及び信頼性の観点からの評価改善がまだ不十分な状態である。そのため,当初予定していた開発システムの実践評価に関わる「旅費」と「人件費・謝金」の支出を予定通りに執行することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の残額のほぼ全額を,平成28年度にシステム開発を「研究室プロジェクト」として加速させるためのノートPCの購入に充てている。平成28年度分の助成金の使途については,当初の計画通りに考えており,早期にシステムの完成度を高めて,実践評価に移行する予定である。
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Research Products
(2 results)