2016 Fiscal Year Research-status Report
数学教育の新たな展開を目指したSTEM連携教育の調査と教材開発のための基礎研究
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15K00943
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
坪川 武弘 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (70236941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数学教育 / STEM連携 / RME |
Outline of Annual Research Achievements |
数学教育改善の取り組みにおける重要な課題として、数学を利用している自然科学・社会科学・人文科学など他の分野との連携がある。その中でもSTEM( Science,Technology,Engineering and Mathematics)連携教育の動きはアメリカでのコロラド州立大学での実践やオランダユトレヒト大学でのICT利用を積極活用した事例などがRME (Realistic Mathematics Education) のカンファレンスで紹介されている。本研究ではこれらの先進的な事例についての調査と日本における教材化の研究を行い、高校から大学へかけての数学教育の内容と照らして教材化をすすめていくことにある。本年度は当初予定していたオランダでの調査が申請者の校務の重なりとの関係で実現できなかった。一方文献的調査は引き続き行い、大学等での実例を収集することができた。 また、計画していた日本国内での教材化については、T3Japan 年会における20年間の教育実践と教材案の電子化を書籍用のスキャナーを用いて進めることができた。現在電子化は7割程度行っており、分類とデータベース化に着手した段階である。この教育実践は500件を超えるものであり、数学教育におけるテクノロジーの利用という面では国内の最も先進的な事例となっている。同時にその内容はSTEM連携と深い関連を認めることができる。この分析と分類により貴重な数学教材の蓄積がなされる。 研究成果については、第17回グラフ電卓研究会、第12回京都算楽会の場でRMEを巡る数学教育の動向について報告した。ホームページとしてグラフ電卓研究会について昨年度作成し公開した。T3Japanの内容についての公開も検討中である。 高校から大学へのSTEM教材の作成に関しては現在はまた検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内における教材調査としてのT3Japan年会の資料の電子化は現在かなり(7割程度)進捗している。その分類にどのようなキーワードを振るのかと言う点と、データベース化する際に500件程度のファイルを効率よく検索するのに用いる手法を検討している。 STEM連携のWEB教材としてユトレヒト大学での事例を現地調査する予定であったが、訪問予定の時期に重要な校務が重なり調査に行けなかった。この大学の教材はWEB教材なので日本からもアクセス可能であるが、オランダでの実際の教育実践を見ることは不可欠と考えている。このWEB教材は国内において関連する資料を点検している状態である。 HPでの公開については、グラフ電卓研究会のページを以下に作成した。 http://www.ge.fukui-nct.ac.jp/~math/graph-ken/
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究最後の年度として以下の諸点を実施することとする。 (1) コロラド州立大学でのSTEM連携の事例をまとめる。一昨年度の訪問で教材とその利用、特にTA,LAの役割について多くの情報を得たのでこれらを整理する。(2) 国内のSTEM教材に関する調査では、T3Japan年会の20年間の資料の電子化と分類、データベース化を元に今後の教材としての利用に関する理論的な検討を行う。とりわけ分野横断的な教材をどの段階でどのように利用するのかということをIMPなどの教材例を参考にして行う。カリキュラムの中での位置づけ、用いるテクノロジーの種類などに注意して整理したい。(3) ユトレヒト大学における実際の状況について現地調査を行いたい。(4) 研究成果の公開に関しては、研究会の資料などの公開は現在も行えるようにしたが、T3Japanの資料のようなpdfファイルの公開については研究協力者と検討し適当な方法を探りたい。 以上の内容について、時期的には、(1)(2)は年度の前半で行い、(3)(4)については年度の後半で行うこととしたいと考えている。RMEの国際カンファレンスがある場合には(3)の調査費用を充てて、RMEの場でユトレヒト大学の研究者と懇談することとする。
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