2016 Fiscal Year Research-status Report
客観指標に基づいた教材開発・授業構成により質的保証された基礎生命化学授業の開発
Project/Area Number |
15K00948
|
Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
石丸 裕士 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (70270311)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 功次郎 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80259910)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高専教育 / 授業改善 / Q-U |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度作り上げた共同研究のコンソーシアムに参加頂いている各高専において、客観指標である高校用Q-Uアンケートを実施して、高専生の特徴を引き続き捉えた。昨年と同様に統計処理することによって、高校用Q-Uを高専生に適用した場合、因子負荷率が有意に低くて高専生対象として適切とは言い切れない設問項目が存在することが判明した。これによって、2年連続で当該項目となった設問を除いた独自の高専向け尺度を決定できた。 この尺度を、休学や退学などに直結することの多い、レポート提出が苦手な学生に適応することによって、当該学生がどのようなことで悩み、どのような問題を抱えているのかについて、特徴づけることができた。これによって、学習習慣のない学生に対して、単に提出を促すだけでなく、その前に解決すべき問題点を明らかにすることができた。 次に、生物化学を専門としない学生にも生物化学についての興味付けが容易にできるように、「データ取り込み可能な画面付顕微鏡による生きた細胞や組織の観察」に関する新規実験を開発した。これによって、細胞の大きさの測定や離れた細胞の形状比較などを簡素化することができ、専門外学生でも興味を持って取り組める教材ができた。Q-U開発者の河村の理論によれば、申請者の所属校に多い、承認得点が高く被侵害得点に広がりを持つ学級は、一般に理解を深めるのに有効とされるグループ学習で盛んに話をするものの、深い学びにつながりにくいという問題を抱えている。これを補うべく、上の教材を用いながら、教員主導型で構成された基礎生命化学の授業構成プログラムを作成した。また、被侵害得点が低く承認得点に広がりがある学級は、グループ学習への参加度合いが低いという問題を抱えている。これを補うべく、上の教材を興味付けに用いながら、学生主導で構成された基礎生命化学の授業構成プログラムを作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画時には、申請者の所属校においてモデルコアカリキュラムが平成28年度から実施予定であり、同年度から生物や化学を専門としない学生の一部クラスにおいて、基礎生命化学教育プロフラムを適応する予定であった。しかし、申請者所属校では平成30年度までモデルコアカリキュラムを適応しないこととなり、当初の予定を達成することができなかった。ただし、平成29年度から共同研究のコンソーシアムの参加校の協力を仰いで、上の基礎生命化学の授業構成プログラムを実施できるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上の基礎生命化学の授業構成プログラムを実施する予定のクラスにおいて、Q-Uアンケートを実施して、クラスの特徴を正確に判別し、クラスの状況に応じた基礎生命化学の授業構成プログラムを実践する。また、提出物が出しにくい学生がいた場合、その問題を見極めて担任と連携しながら、当該学生の問題点を解決できるよう導く。その後、どの程度学生に受け入れられたのか、開発した教材はどの程度興味付けに役立ったのか、などを調べるため、授業アンケートに加えて独自のアンケートを実施する。このようにして、既存の専門外科目と比較検討して、開発した実験教材や当該教育プログラムの効果を検証する。修正すべき箇所は改め、当該教育プログラムを完成させる。
|