2016 Fiscal Year Research-status Report
博物館収蔵品と再現実験・復元装置を相補的に活用した理科教材の作成
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15K00958
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
東 徹 弘前大学, 教育学部, 教授 (30132939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学教育 / 科学史の活用 / 再現実験 / 復元装置 / 博物館の活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
博物館所蔵装置や展示品とリンクさせた理科教育の方途を探ること、そのために最低限必要なICTの活用方途を探ることは、本研究の主な内容である。以下に、平成28年度に行った研究の概要を述べる。 音速を体感できるように工夫された「伝声管」などは、神戸市立科学館をはじめ、各地の科学館に展示されており、その最初の測定はガリレオによることもふれられている。これらの展示装置と簡単かつ正確に音速を求めることのできる装置とを組み合わせれば、その教育的効果は高いと考え、現在の学校教育のなかでも簡単に音速測定を実施できる装置を製作し、日本物理教育学会全国大会で発表するとともに、日本物理教育学会誌上においても報告した。 新しい磁性材料の開発は、明治期、物理学の分野において我が国の人々が最初になした世界的業績の1つであり、それらを顕彰する品々は旧金属博物館の展示を引き継いだ東北大学総合博物館をはじめ、いくつかの博物館で展示されている。現在でもわが国が世界をリードする分野である磁性材料について、ある物質を磁石としたり、逆に磁石の性質を失わせたりするという最も基本的な操作を簡単に行える方法があれば、博物館の展示品とリンクした理科教育の実施が可能と考え、その方法を日本物理教育学会東北支部機関誌上において報告した。 さらに、はやくも江戸期にわが国の人々が科学に取り組み始めたことを生徒たちに知らせることは、理科教育にとっても有意義である。そのため、武田科学振興財団所蔵の資料の調査を行い、例えば、今日使用されている化学用語は、想像以上に多くが江戸時代に作られてきたことを明らかにした。国立科学博物館での展示品とリンクさせれば、理科教育のなかでも十分活用しうる目途がたつつつある。また、この成果の一部は、平成29年度に刊行される日本化学史学会編『化学史事典』のなかでも紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に引き続き、博物館や科学館所蔵の装置や展示品とリンクさせることが可能な新しい実験方法や実験教具の開発を行うことができたこと、また、浮力を題材とした研究授業を実施し、本研究におけるICT活用の可能性についても探ることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、最終年度であるので、これまで調査した内容や政策した装置等を利用した研究授業の実施に取り組む。あわせて、不十分な点に関して、引き続き調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
装置の製作や研究授業の実施に多くの時間が割かれ、科学館や博物館での調査に十分な時間を割くことができなかったことが原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度はまとめを行うためにも、最終調査にも時間を割いていく方針である。
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Research Products
(3 results)