2015 Fiscal Year Research-status Report
マイコンボードを利用した教員養成における物理学実験の開発・教材化
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15K00962
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
近藤 一史 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40178421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大向 隆三 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40359089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実験・観察 / 教育職員免許法(教免法) / マイコンボード / 物理計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マイコンボードを利用し、物理学実験においてコンピュータによる測定を安価で容易に行うことが出来る実験装置を開発し、それらを教材化することにある。小・中学校の実験においても容易に導入でき、教材として活用できることを明らかにすることが目的である。 平成27年度は(1)振り子の周期測定によるシステムの開発、(2)力学台車などの実験における利用、(3) Arduino を利用するための訓練 であった。(1),(2) については、実験材料を収集し、準備を進めた。予算縮小のため、出張講義等で利用するには実験装置の数が足りない状況である。現在、授業内容などの教材開発中である。(3) については、プログラムを経験したことの無い教員志望の学生を対象に3グループの訓練を行った。ソフトウエアのインストールから、プログラムの作成、マイコンボードへの組込、そしてLEDの点滅プログラムの実行をいずれも1コマ90分で行うことができることが確認できた。 平成27年度は(1),(2) の開発と並行して、科学教育におけるマイコンボードの利用について検討を行った。物理分野の内容は、目に見えない現象が多く、児童・生徒の理解を妨げている。そのため、教科書などでは理解を助ける写真が掲載されている。そこで、科学写真家の研究者と協力して、マイコンボードを利用して学校現場で容易に科学写真を撮るシステムの開発を行った。完成版には至っていないが、容易にミルククラウンを撮影する装置を試作することができた。その他、風船、水風船などの割れる瞬間の写真などを撮影するシステムにも応用する予定である。 また、マイコンボードを利用する際には、パソコンが必要になる。学校現場では自由に学校のパソコンにソフトウエアをインストールすることが難しいとの意見がある。そこで、パソコンの代わりに、Raspberry Pi というマイコンバードの利用することを計画して、導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
要求した予算が配分されなかったため、出張講義用の振り子測定装置は準備できなかったが、システム開発は順調に進んでいる。特に、センサーとして重要な光ゲート部分については、レーザー加工機が利用できるようになったため、塩ビパイプを使った現在の光ゲートよりも利用し易いゲートを作製する予定である。力学台車における測定については、無線システムの開発に手間取り、停滞気味であるが、おおむね順調と考えられる。 マイコンボードの利用で、当初予定していた分野以外に、科学写真への応用に着手した。ミルククラウンを容易に撮影できるシステムを試作した。この点においては、計画以上の成果が得られたと考えられる。 マイコンボードを稼働させるために、ノートパソコンを利用することを計画している。出張講義などでは、こちらでソフトウエアをインストールしたノートパソコンを用意するが、学校現場では、学校所有のパソコンに新なソフトウエアのインストールは難しいとの報告がある。そこで、 Raspberry Pi というマイコンボードを利用したシステムの開発に着手し始めている。これが、利用することができれば、ノートパソコンを必要としないので、学校現場への普及がより、容易になると考えられる。 研究初年度のため、論文、学会発表までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、(1) 授業での使用のための準備 (2) コンピュータに変わるRaspberry Pi利用の検討 (3) 実験教材の改良 を計画していた。(1) については予算不足で少々準備が遅れるが、ワークショップなどでの公開なども視野にいれて進めるつもりである。平成29年2月に行われる予定の、附属小学校でのワークショップで公開することを目指して準備を行う。(2) については、Raspberry Pi の普及がめざましいため、平成28年度から着手を始めた。これば、Arduino よりは専門的な扱いが必要になるため、利用するためには市販の入門書の他、独自の手引きを作成する必要について検討している。(3) ではワイヤレスチップ利用して、測定装置の無線化を考える。ワイヤレスチップの利用についても少々専門的な扱いが必要である。しかし、 Arduino とRaspberry Piを組み合わせると、大変使いやすい物理測定システムができるので、できるだけ早い開発を考えている。 さらに、科学写真への応用についても進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者分として配分した経費が、分担者の予定ならびに使用計画により、次年度以降に執行することが、研究遂行に適していると判断した。そのため、配分した経費(50,000円)については次年度以降の執行することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の配分(若しくは次年度以降の配分)と合わせての執行を予定している。
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