2015 Fiscal Year Research-status Report
ESD推進のための効果的な地域ネットワーク構築要件の研究
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15K00970
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 克徳 金沢大学, 環境保全センター, 教授 (30467120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ESD / ESDに関する地域拠点 / RCE / ESDコンソーシアム / ユネスコスクール支援大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、仙台広域圏地域、岡山地域についてヒアリング調査を行い、詳細な分析を行うとともに、平成26年度に新たにコンソーシアムを立ち上げた北陸地域、三重地域、奈良地域、大牟田地域について調査を行い、それらの設立の背景、推進主体、主な活動に関する比較分析を行った。それらの検討を行うため、専門家からなる委員会を立ち上げ、2回の会合を開催した。仙台広域圏地域では、平成17年のRCE(国連大学が認定するESD地域拠点)設立時には、仙台市、気仙沼市、大崎地区が中心であったが、その後、宮城県内他地区、一部他県へと活動が拡がった。さらに、平成26年度には、東北全体を対象とするようになり、いくつかの中核的な拠点の活動を推進する拠点方式を進めるようになった。仙台広域圏の特徴は、中核的ESD推進主体が様々である点である。宮城教育大学が全体の推進役になりつつも、仙台市環境局(仙台市)、気仙沼市教育委員会(気仙沼市)等、それぞれの地域の特性に応じた中核的主体が形成されている。岡山地域は、平成15年頃から岡山ユネスコ協会、岡山市が中心になってESDに取り組み、平成17年にRCEに認定された。RCE認定当初は、岡山市の環境部局が中心になって取り組んでいたが、岡山大学環境学研究科、教育学研究科が順次、積極的に活動するようになった。また、岡山市教育委員会も徐々にESD活動への関与を深めていった。RCE立ち上げに伴い、岡山市は、ESD推進連絡協議会を発足させ、広範なマルチステークホルダーの参加を呼び掛けた。岡山の際立った特徴の一つが公民館によるESD推進であり、世界的な影響を及ぼした。これらの地域と北陸地域、三重地域、奈良地域、大牟田地域との比較分析からESD地域拠点形成にかかわるいくつかの特徴が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、特に大きな障害は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、平成27年度に新たにコンソーシアムとなった千葉地域、福島地域、中部地域、岡山地域、新居浜地域を中心に調査を行う。これらの地域の中には、千葉地域や福島地域のように、これまでのRCEやコンソーシアムとはタイプが異なる地域がある一方、新居浜地域のように大牟田地域と同様に市の教育委員会が中核となっている地域、岡山地域のようにこれまでの活動の延長線上で新たに岡山市教育委員会が中心となった活動を展開しようとしている地域があり、平成27年度調査地域との比較分析には大きな意義がある。平成28年度に新たにコンソーシアムとなった地域の中には、RCEで実績を積んだ横浜地域がある一方、静岡地域や広島地域のように、ユネスコスクール支援大学が中心になって活動を展開しようとする地域が含まれる。それらの地域拠点が、ユネスコスクールを中心とした活動になるのか、より広範なステークホルダーを巻き込んだものになるのかは、今後の地域拠点の整備に影響する大きなポイントになると考えられる。
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Causes of Carryover |
仙台広域圏地域の調査に際し、東北コンソーシアムの総会、気仙沼ESD・RCE推進協議会に別途の経費で出席する機会があり、その期間中に調査を行うことができた。同様に、奈良地域、大牟田地域についても別途の経費を調査に活用することができた。そのため、旅費の節約が可能になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の当初予定の活動に加え、平成27年度に現地調査を十分に行えなかった岡山地域に関する補足調査を行う。また、文献調査やヒアリング調査が中心であり、現地調査を行っていない千葉地域に関する補足調査を併せて行う。
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