2015 Fiscal Year Research-status Report
科学コミュニケーションを活用した研究倫理教育の研究
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15K00983
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 俊哉 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90345140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10526677)
緒方 三郎 北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60401949) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 研究倫理 / STSステートメント / 説明責任 / アウトリーチ / 科学技術理解増進 / サイエンスカフェ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成 27 年度は、研究目的に記述した、1)科学コミュニケーション を経験中心カリキュラムの核とした研究倫理教育の国内外の事例収集と2)九州大学における教育の場を活用した臨床教育学的アプローチにより1)に関する実践的な知見の収集と構造化の 2 点に主眼を置いた調査研究をスタートさせた。 先ず1)については、「サイエンスアゴラ2015」(科学技術振興機構JST主催)の科学コミュニケーション実践者交流の場に参加し、大学等における科学コミュニケーション実践者との交流による情報収集を行った。また分担研究者の吉澤剛大阪大学准教授の協力により、吉澤教授が代表を勤める「責任ある研究・イノベーションのための組織と社会(OSRRIs)研究会」に参加し研究交流を行い、有益な情報を収集することができた。 次に2)については臨床教育学的アプローチとして、平成27年6月6日に福岡市内の中心繁華街において福岡市民を対象とした科学コミュニケーション活動を実施した。当該活動に参加した九州大学大学院生による科学コミュニケーション実践の場において非専門家である市民との交流の場において、大学院生の倫理観等にいかなる意識の変容が生じたかを質問票調査を実施して必要な知見を収集することができた。同時に当該科学コミュニケーション活動が、参加した市民の科学技術理解増進を実現できたか否かの調査も上記質問票調査によって、公開の科学コミュニケーションの場で市民に対する研究内容の「STSステートメント」というツールの活用による研究内容の公衆理解は、ある程度の達成を実現できたという結果を得ることができた。 以上の研究成果を基に、平成27年度内に4件の学協会等発表と1件の海外向け英文報道誌に1件の論説を掲載し、2件の専門誌(科学技術社会論学会誌等)論文投稿(平成28年4月現在査読中)までを実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において初年度に予定した、1)科学コミュニケーション を経験中心カリキュラムの核とした研究倫理教育の国内外の事例収集と2)九州大学における教育の場を活用した臨床教育学的アプローチにより1)に関する実践的な知見の収集と構造化の 2 点に主眼を置いた調査研究を予定通りスタートさせることができた。 特に2)に関する臨床教育学的アプローチとしての、地域社会の市民を対象とした科学コミュニケーション活動の実践を実現し、重要な知見を収集することができた。研究実績の概要に記載した通り、それらの成果を基盤に平成27年度内に4件の学協会等発表と1件の海外向け英文報道誌に1件の論説を掲載し、科学技術社会論学会誌等の2件の専門誌論文投稿(平成28年4月現在査読中)までを実現できたことを根拠とする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の成果を踏まえて、引き続き臨床教育学的アプローチによる知見の収集を強化する。現時点では予定であるが、平成28年11月初旬に開催予定の科学技術振興機構(JST)主催の「サイエンスアゴラ2016」で科学コミュニケーション実践を27年度より大規模に実施したいと考えている。サイエンスアゴラ以外にも九州大学が立地する福岡市内での科学コミュニケーション活動による教育学的アプローチを継続していく。 以上の臨床教育学的アプローチにより収集したデータを基に、科学コミュニケーションに際して参画した九州大学大学院生の意識変容のプロセスを、科学コミュニケーション実践直後に実施する質問票調査等結果からの分析を推進する予定である。 特に(ⅰ)専門的知識・情報を平易化するためにどのような工夫したのか、そして(ⅱ)非専門家としての市民のニーズへの応答にあたって生じた葛藤や問題解決のプロセスが(ⅰ)にどのように反映したかを抽出し、得られた知見を基に大学院教育及びポスドク等若手研究者教育で実施可能なカリキュラムの原案作成へと繋げていく予定である。 なお以上に併せて、海外事例の収集も可能な限り推進する予定である。
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Research Products
(6 results)