2016 Fiscal Year Research-status Report
科学コミュニケーションを活用した研究倫理教育の研究
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15K00983
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 俊哉 九州大学, 科学技術イノベーション政策教育研究センター, 准教授 (90345140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10526677)
緒方 三郎 北陸先端科学技術大学院大学, 地域イノベーション教育研究センター, 特任准教授 (60401949) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学技術コミュニケーション / 研究倫理 / STSステートメント / セルフ・テクノロジーアセスメント / サイエンスアゴラ2016 / 責任ある研究・イノベーション(RRI) / サイエンスカフェ / 科学技術理解増進 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度実施状況報告書の「今後の推進方策」に記述した通り、研究代表者の所属する九州大学における臨床教育実践を推進した。「今後の推進方策」に記述した予定の通り、平成28年11月3日に科学技術振興機構(JST)主催の「サイエンスアゴラ2016」(日本科学未来館・東京)において「STSステートメントセッション」と題する臨床教育実践を実施することができた。さらに平成29年3月18日に福岡市内において「STSステートメントサイエンスカフェ」を開催できた。サイエンスアゴラ2016と福岡市内のサイエンスカフェにはそれぞれ3人の九州大学大学院生が参加し、大学院生が作成したSTSステートメントを発表した。そして参加した市民からの質問に応えるとともに活発なディスカッションを行うことができた。 以上2回の科学技術コミュニケーション活動に基づく臨床教育実践によって、STSステートメントを作成・発表した九州大学大学院生が科学技術コミュニケーション実践の場において非専門家である市民との交流の場の中で、いかなる意識変容が生じたかを把握するための質問票調査を実施することができた。平成29年3月現在、質問票調査によって入手した知見の構造化を進めている。 なお上記の科学コミュニケーションに際して携わった大学院生・ポスドク等若手研究者の意識変容のプロセスの分析は次のように進めている。(ⅰ)専門的知識・情報を平易化するためにどのような工夫したのか、そして(ⅱ)非専門家としての市民のニーズへの応答にあたって生じた葛藤や問題解決のプロセスが(ⅰ)にどのように反映したかの抽出。以上の2点の分析作業を平成29年度に向けて進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように、平成27年度実施状況報告書の「今後の推進方策」で平成28年度研究計画の重要な項目であった、九州大学における臨床教育実践を推進することができたためである。予定通り、平成28年11月3日に科学技術振興機構(JST)主催の「サイエンスアゴラ2016」(日本科学未来館・東京)における「STSステートメントセッション」並びに平成29年3月18日に福岡市内で「STSステートメントサイエンスカフェ」を開催できた。当初の狙い通り、以上2回の臨床教育実践により、STSステートメントを作成・発表した九州大学大学院生の意識変容実態調査を進めることができている。それらの成果により、平成29年3月現在で、科学技術社会論学会誌、日本サイエンスコミュニケーション協会誌、日本経営システム学会誌、それぞれに査読付き論文を3報、国際学会誌"Educational Alternatives"に査読付き英文論文1報を掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究成果を踏まえて、(ⅰ)科学技術コミュニケーション実践を行った九州大学大学院生が専門的知識・情報を平易化するためにどのような工夫したのか、そして(ⅱ)非専門家としての市民のニーズへの応答にあたって生じた葛藤や問題解決のプロセスが(ⅰ)にどのように反映したかを抽出し、得られた知見を基に大学院教育及びポスドク等若手研究者教育で実施可能なカリキュラムの原案作成を進めることとする。作成したカリキュラム原案により九州大学大学院での実証授業を実施し、カリキュラム原案の有効性を検証することにより社会へ向けた「誠実なアウトリーチ」を可能とする倫理観の高度な大学院生・ポスドク等若手研究者の育成を可能なものとする。なお平成28年度に実施した臨床教育実践は、平成29年度も、JST主催のサイエンスアゴラ2017並びに福岡市内のサイエンスカフェで可能な限り実施し、大学院生の意識変容等のデータ収集に努める。併せて分担研究者の吉澤剛准教授(大阪大学)の協力を得て、上記カリキュラムの有効性評価軸の作成を進めることと、大学院生を指導する教員の科学技術コミュニケーションに対する意識の把握も進めたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度に分担研究者の吉澤剛准教授に配分した直接経費中から8,572円の残額が生じた。吉澤准教授の希望により平成29年度の直接経費に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
8,572円の残額は、分担研究者である吉澤剛准教授の平成29年度分の直接経費に充当し執行する予定である。
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Remarks |
(2)は研究者又は所属研究機関が作成したwebページではないが、本研究の成果を伝達する情報として重要なので掲載したい。
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