2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new teaching materials about oxidation of oils
Project/Area Number |
15K00988
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
井上 正之 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (00453845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 油脂の光酸化 / ラジカル開始剤 / 遮光の評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ラジカル開始剤とブラックライトによる近紫外光を用いる油脂の酸化の基質を,キリ油からアマニ油に変更した。酸化の進行は,反応後のアマニ油とヨウ化カリウムとの反応により遊離したヨウ素の色調で半定量的に比較することができた。これによって,キリ油を基質とした場合に見られた結果のバラつきを抑制することができた。この新しいシステムを用いて,市販のUVカットクリームの性能比較実験,遮光ビンや色セロハンによる近紫外光の遮光実験を確立することができた。 得られた成果を実践するために,千葉県の公立高等学校への出張実験講座を実施した。この講座では有機化学の内容を未習の高等学校1,2年生が対象であったので,実験の概要を説明した後,4人で構成される各班に当研究室の学生を1名ずつアシスタントとして配置し,実験操作と細かい内容の指導を行った。UVカットクリームの評価実験および褐色ビンと色セロハンによる遮光実験の結果はきわめて良好であり,事後のアンケート調査における情意面での評価でも好意的な意見が多数を占めた。 また市販されている各種植物油を基質として,上記システムによって近紫外光による被酸化性の大小を比較した。その結果,被酸化性が大きい油脂は一般に遮光ビンや紙箱などに入れて販売され,ビンの内容積が小さい傾向にあることを示すことができた。この実験を行うことで,油脂の販売方法と保存方法について考察させることができる。現在,ラジカル開始剤を用いない油脂の光酸化とのメカニズムの相関について検討中である。 以上のように本年度の研究成果を用いて,本研究の大きな目的である家庭科と理科とをつなぐ実験教材を確立する目処が立った。
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