2016 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者の理科教育支援のための教材開発と展開研究
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15K01001
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 三男 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40197182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 徳道 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (90112888)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 視覚障害者理科教育 / 視覚障害者理科教材 / 音声化教材 / 立体グラフ / 7segLED / アンドロイド端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者の理科実験の測定器を音声化できる教材が開発できれば、理科実験の支援が広がり、より科学的な見方や考え方が育成されると考えている。これまで理科実験で使用する様々な測定機器の測定値を音声化できる手法を模索してきた。そこで測定器のデジタル液晶表示(7segLED)に着目し、タブレット(アンドロイド端末)のカメラを用いて7segLEDを撮影、文字認識し、音声で数値の読み上げの開発を行ってきた。さらに、アンドロイド端末とPCを繋ぎ、PCからプリンターを使って、カプセルペーパーで測定データをグラフ化したものを、立体コピー作製機を使って立体グラフを作成するシステムを考案した。表示される文字を音声で読み上げる手法と測定したデータを立体グラフとして描くことで、音声化による情報だけでなく、測定したデータを立体グラフ化した情報を提示することができる。つまり、指先でグラフに描かれた横軸と縦軸内容の情報を触知して読み取ることが可能となる。さらに立体グラフ化により測定データを保存することができるようになる。視覚障害者が理科実験を行って得られる聴覚情報と触覚情報を同時に受信することで、様々な実験から系統性や関連性から物質変化の規則性や法則性を見出すことができるため、健常者と同じような科学的な思考力や表現力が育成されるものと考えている。このシステムは、視覚障害者にとって、聴覚、触覚を同時に使った理科支援教材システムである。現在、音声も日本語読み上げだけでなく(日本語版)、英語による読み上げも(英語版)可能となっている。この機能を活用することで、世界中の各国の母国語で読み上げることが可能である。しかも立体グラフの作成も様々なサイズで対応可能なため、その用途は広がると期待される。すでに温度計、pH計などでは良い結果が得られている。今後、支援学校によって実践的な試みを行う予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究の進捗状況は、理科実験を行う際にタブレット(アンドロイド端末)を使い、7segLED(液晶表示)の測定機器(デジタルpH計、デジタル導電率計、デジタル天秤、温度計など)の数値を間違いなく、確実に読み上げるシステムが出来上がっている。測定したデータをPCに移して作図ソフト・エクセルによってグラフを作成し、カプセルペーパーを使ってグラフを作成し、カプセルペーパー上に描かれたグラフを立体コピー作製機を使って立体グラフが完成したところまで開発が進んだ。また、日本語版読み上げの他、英語版の読み上げも出来上がっている。強酸ー強塩基の中和によるpHの変化、硝酸アンモ二ウムの溶解による溶解熱の反応、使い捨てカイロによる発熱反応による温度変化などの実験は、7segLED表示であれば順調に読み上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、実際の理科実験である。pH計を使った酸化還元滴定曲線、デジタル温度計を使った、使い捨てカイロによる温度上昇、デジタル酸素計を使った呼気の実験など、様々な7seg(LED)実験装置にタブレットによる音声化と立体グラフ作製システムを使って、より実験教材を積み上げて実践に活用でするよう多くの教材開発を行う。さらに、視覚障害支援学校の授業で実践的に使ってもらい、微調整を取りながら使い勝手を向上することを検討している。
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