2015 Fiscal Year Research-status Report
協調の認識論的主体性を評価するスクリプト完成課題の開発
Project/Area Number |
15K01024
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大島 律子 静岡大学, 情報学部, 教授 (70377729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文学部, 教授 (20323199)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 協調学習 / 協調の知識 / 協調のスキル / 測定法 / マンガ / 認識主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,協調の知識や協調のスキルといった協調学習時において求められる学習者の認識主体性(SCARDAMALIA 2002)を,従来の測定手法である質問紙法「AIRE(Adaptive Instrument for Regulation of Emotions」(JARVENOJA, VOLET, & JARVELA 2012)よりもさらに詳細に把握することを目的として,スクリプト完成型の課題「CSSER(Collaboration Scenario-based Scale for Emotion Regulation)」の開発を行った.CSSERは,協調学習時によく見られる社会感情を伴った問題発生シナリオをマンガ仕立てで提供するというものである.学習者には自分がマンガ中の登場人物になったという想定で,そこで起きている問題を疑似体験させ,起きた問題に対する自分の「心の声」と「発言」を空白の吹き出しに記入させるものとして構成した.シナリオの作成はAIREの因子に基づいた. 今回は試作したCSSERの妥当性を検証するために,同一被験者(学習者)に対してCSSERとAIREの両方を実施した.クラスター分析の結果,CSSERは被験者をAIREと類似した特徴をもつグループに分類できることが明らかになった.このことから,今回開発したスクリプト完成課題の測定法としての妥当性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CSSERの回答傾向のクラスター分析による分類が,AIREのものと類似していたことから,学習者の認識主体性に関する特徴を把握する上で,今回開発したCSSERがAIREと類似した枠組みを提供できたことが示された.これにより,CSSERの測定法としての妥当性が示され,当初の計画より早い段階で実現ができたことになる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現存データの詳細分析を通じて 1)CSSER評価ルーブリックの質を上げること, 2)学習者の実際の学習活動で見られる様子とCSSER,AIRE両測定法の関係性を明らかにする とともに,追加のデータ収集を行い,測定法としての質向上を目指す予定である.
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Causes of Carryover |
他所からも研究費の支援が得られたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進捗が当初の予定より早く進んでいる.このため,さらなる大掛かりな分析に着手するとともに,研究成果の公表に力を入れる予定である.
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Research Products
(6 results)